【脚本 伊上 勝/監督 冨田義治】
イスなのかギロチンなのか、どっちなのかね君わ。
◆ ◆ ◆
ジンドグマが、幽霊博士の作った「ドクロガス」の実験をしています。ドクロガスはガスマスクも効かないらしく、5秒で人間を溶かしてしまうそうです。
その言葉通り、実験台の人たちは、服を残して溶けてしまいました。
ジンドグマって、すっかりお笑いグループだと思ってましたが、実は悪の組織だとういうことをようやく思い出しました。
しかし、幽霊博士の命令でドクロガスを作っていた太田博士が、ジンドグマの秘密研究所を脱走した模様。
太田博士、隙を見て脱走したであろう割には、スーツをしっかり着込んでいるというのも妙ですが、おそらくスーツが普段着なのでしょう。
太田博士は自宅に帰ろうとしますが、明らかにジンドグマっぽい人がやってきます。それを見て「ダメだ、家は見張られている」という太田博士。
そりゃそうでしょう。
その頃、ジュニアライダー隊は、どこかの公園でキュートなジンファイターの的めがけてスーパーボールを投げつけています。
「まいったか!」「ジンドグマめ!」「ジュニアライダー隊のスーパーボールだ!」「女だって強いんだから!」と口走りながらボールを投げていますが、知らない人から見ると単なるアブナイ集団にしか見えないので、もう少し人目を憚ってやってほしいものです。
すると、マサルがコントロールミスした場所に、うまい具合に太田博士がやってきて、自分の娘に手紙を渡してほしいと、ジュニアライダー隊に頼みます。これまたうまい具合に、隊員の一人が娘さんを知っていました。
しかし、そこへさっきのジンドグマと思しき連中が現れ、太田博士を追いかけます。こちらも人目を憚る気は全くないようです。
いつの間にか手紙をもらった博士の娘さんは、手紙に書かれた場所に向かっている模様。その後を派手な戦闘曲をバックに派手に尾行するライダー隊。それを見て「脱走者の足取りがつかめたぞ〜」という幽霊博士。
完全にジュニアライダー隊のせいです。
娘のヒロコちゃんは、小学校に入ります。ここが待ち合わせ場所だったようです。人気がありませんが、日曜日だったのでしょうか。
誰もいない教室で娘との再会を果たす太田博士ですが、気味の悪い笑い声が聞こえます。「あの笑い声は!」という通り、幽霊博士が出現。太田博士を殺そうとします。
博士は娘を逃がそうとしますが、外ではイスが大挙して襲ってきます。ヒロコちゃんを助けようとするライダー隊も、全くどうすることもできません。これって、けっこう撮影が大変そうなので、助監督さんやスタッフさんは「ちくしょう、面倒くさいシナリオと、面倒くさい演出考えやがって」と、脚本家や監督に恨み節を言っていたに違いありません。
教室内では、博士の座ったイスが「チッ、誰かと思えばオッサンかよ。どうせなら可愛いギャルを抱っこしたいもんだぜと不平不満を言いながら これより脱走者の死刑を行う!」と、イスギロチンになります。
基本、電気イスの怪人ですが、他に例があるといえば、何と言っても「ロボット刑事」に出てきたバドーロボット「コシカケマン」です。恐ろしい能力を持ったロボットなのですが、ネーミングですべてがぶちこわしという、違う意味で恐ろしい怪人でした。
で、電気攻撃で太田博士を殺そうとするイスギロチンですが、なかなか一気に電圧が上がらないらしく、けっこう時間をくっています。
ホットカーペットみたいな奴です。
そこへ、沖一也の登場。「幽霊博士!今日こそおまえを捕まえてやる!という沖一也。せっかくなので、ここで一気に葬り去ってくださいほしいものですが、捕まえた方が、ジンドグマの基地や秘密を聞き出したりと、いろいろと使いみちはありそうです。
ただ、どうせつかまえるなら妖怪王女がいいです。
教室内では、沖一也とジンドグマの戦い。イスがジンファイターになったり、ジンファイターがイスになったり、イスがジンファイターになったりと、さらにはイスが吊られたりと、かなり忙しい演出。現場の苦労がうかがえます。
外に出た沖一也はスーパー1に変身。イスギロチンは悪人らしく変身中を狙いますが、惜しくも誤爆。変身を許します。
外での戦いでも、カットごとにイスが組み替えられていたりと、凝った演出。現場スタッフの恨み節が聞こえてきそうです。
イスギロチンに逃げられた沖一也は、太田博士がいたジンドグマの秘密研究所に、自ら乗り込むことにします。
奥秩父の山中の湖畔にあるという、秘密研究所。今にも特撮で爆発しそうな建物に見えますが、今はそんなことを気にしてはいけません。
沖一也はアマゾンの音楽にのって、ダイナミック侵入。このところ毎回のように使われています。スカイライダーのころからではありますが、よほど使い勝手がいいのでしょう。
建物に潜入した沖一也ですが、速攻落とし穴にハマります。下で待っていたのはイスギロチンです。「ちくしょう、またオッサンかよ。ギャルはおらんのかギャルは と不平不満を言いながら 貴様が来るのを待っていたのだ」というイスギロチン。
沖一也は抵抗しますが、イスギロチンがギロチンスパークという技で、沖一也を機能停止させます。思えば、この時点で沖一也を殺してしまえば、なんてことはなかったのですが、おそらくイスギロチンの出力が足りなかったのでしょう。処刑は持ち越しです。
ジンドグマ基地では、沖一也を捕えた幽霊博士が笑いを堪えきれません。それを見て不機嫌になる他の幹部。鬼火司令は「俺は忙しいんだ!モタモタしてると帰るぞ!」と言っています。
帰るだけですか。
するとモニターには、捕らえられた沖一也の姿が映しだされます。それを見てさらに不機嫌になる幹部たち。妖怪王女は「早く溶かして!」と言います。なんかよく分りませんが、とにかくなんかエロいです。
悪魔元帥の前でいいところを見せたい幽霊博士。「ドクロガス、ふん〜〜〜しゃ!」という変なアクセントとともに、ドクロガスが沖一也めがけて噴射されます。その様子を小窓からジンファイターとともに見物して「溶けろ溶けろ、骨までとけろ〜!」と、大はしゃぎのイスギロチン。
電気イス怪人としての誇りやプライドはないのでしょうか。
あと、沖一也が溶けたら場合、骨は残りませんが、機械の残骸になるので、後片付けがたいへんそうです。
勝った気でドクロガスを回収するイスギロチン。沖一也の姿はなく「見ろ!キレイさっぱり無くなった〜!」と笑うイスギロチンですが、今度は天井から笑い声。相変わらずテープの回転数高めの「無敵の勇者スーパー1」をバックに、スーパー1が天井に貼りついています。
どうして死ななかったのだと驚くイスギロチンに事情を説明するスーパー1。
沖一也は当たり前のように手かせを外してスーパーに変身していました。
すんません、視聴者が知りたいのは、その「なんで手かせが外れたか」ということなのですが。
そんな視聴者をさっくり無視して「改造人間にドクロガスは効かないぞ!」というスーパー1。確かに、吸わなければ効果のないガスであれば、変身してしまえば、惑星開発用改造人間であるスーパー1には通用しません。
このことを、悪魔元帥が忘れていた(もしくは知らなかった)ために、ジンドグマは最後の最後で墓穴を掘ることになるのですが。
で、スーパー1は「今度はおまえだ!」とか「毒ガス研究所はこの世から消す!」とか、荒っぽい発言をしながらジンファイターを蹴散らし、研究所の中核に入ります。そこらへんにあったボンベを持ち上げて「ボンベで製造機を爆破してやる!」というスーパー1。
その説明要りません。
そして、秘密研究所は予想通り爆発しました。
ただ、毒ガスのもとを変に燃やしたり熱を加えたりしたら、それはそれで問題が起こらなくはないような気もするのですが、今はそんなことを気にしてはいけません。
研究所を破壊してホッとしたところに、ベンチの襲来。ベンチはジンファイターになって襲いかかってきます。きっとまた現場スタッフのみなさんが「ちくしょう、面倒くさい演出考えやがって」と思っていたに違いありません。
そこに「よくも俺をだましてくれたな」と現れるイスギロチン。別にアナタをだました訳ではなくただ単にスーパー1の能力が、アナタの予想を遥かに上回っていただけだと思いますが。
いわば、惑星開発用改造人間とイスとの、永久に埋まることのない差です。
ただイスギロチン、よく見たら、身体のデザインのモチーフが高級革ソファーみたいになってるのがイカします。いまさらですが。
「無駄なことだ!イスギロチン、おまえは俺の敵ではない!」と、相変わらず減らず口をたたく正義のスーパーヒーローは、イスギロチンのギロチンスパークにエレキ光線で対抗。
やはりスーパー1の敵ではなかった高級革ソファー怪人は、イスバリヤーも虚しく、スーパーライダー月面キックをくらい「やられたぁ〜おれはしぬぅ〜」といって爆発です。
その最期を見届けて「愚かな奴だ」と捨て台詞を吐く正義のスーパーヒーロースーパー1ですが、ガキどもが出てこないBパートは安心して見られるなと思いつつ、太田博士の奥さんの回復を祈りながら今回は終わりです。