【脚本 伊上 勝 監督 山田 稔】
局長室は特命捜査課!
◆ ◆ ◆
スーパー1の脚本に、ついに御大・伊上勝さんのご登場です。
あとオープニングのテロップが、ツタデン「ワ」となってますが、正しくはツタデン「マ」です。
■ひろこちゃんが塾から帰っていると明らかに死亡フラグが立っているお巡りさんがやってきて、ひろこちゃんに声をかけます。
すると、どこからか電話の音がします。見にいくと、あるはずのない場所に公衆電話が設置されているようです。
おせっかいにも、ここが公衆電話であることを教えてやろうなどと考えて電話に出る、フラグの立ったお巡りさん。
しかし、電話から聞こえてきたのは「中央電話センターのの娘を出せ!」という不気味な声。
お巡りさんが取った受話器には、目と口がついています。
目と口のついた受話器は、実験と称してお巡りさんを溶かしてしまいます。
その様子を目撃したひろこちゃんに対し「見たな〜!」という、目と口のある受話器。
さもたまたま見られたような言い方してますが、そこにいるのを承知でやったんじゃなかったんですか、もう忘れたのですか。しょせんはツタですか。
■ひろこちゃんと受話器は、東映作品でよく見る、土管のたくさんある場所で追いかけっこ。
しかし、受話器に見つかるひろこちゃん。
そこにかけつけたのは沖一也。ひろこちゃんは沖一也の恐い顔を見て…ではなく、助けがきたので安心して力が抜けてしまいます。
一也がひろこちゃんをお姫様抱っこしているところへ、怪しい人影、いや草影が現れますが、出てきたのはヘルメットを被った作業員風のオッサンでした。
目と口がついている受話器は、次の機会を伺うようです。
■「あのお巡りさん、どうしたのかしら?」と、ひろこちゃんが自宅で無駄な心配をしていると、電話が鳴ります。
この時代では何のへんてつもない普通の電話ですが、今の感覚で見たら、レトロ感たっぷりなのでしょうね。
そこへ、しつこく目と口がついた受話器がやってきます。
ひろこちゃんがアマゾンの音楽で受話器に襲われていると、どこに待機していたのか、沖一也が登場。目と口がついた受話器を掴みます。
「操っているのは誰だ?!」という沖一也。コードの先にいたのは、身体中ツタだらけの、かつての甲子園球場みたいな変な奴。
「貴様はドグマ怪人!」と、沖一也。
見たら分かります。
すると、怪人ツタデンマの受話器からファイターが出てきます。
電話だけに、基地から電送されてきたのでしょう。
■沖一也は、他人の家でドグマと大格闘。しかしツタデンマには逃げられます。
あるビルの屋上に逃げ込んで、さっきのオッサンになりすますツタデンマですが、あっさり沖一也に正体を見破れます。せめて違う人になるべきでした。ツタデンマ、知恵が足りません。しょせんはツタです。
■正体を現したツタデンマとスーパー1が対決。
しかし、ツタデンマが発する発狂音波に苦戦するスーパー1は、沖一也に戻ってしまい、菊池さんの作曲っぽいけど出典不明な音楽をバックに、そのままビルの屋上から落ちてしまいます。ツタの割にはなかなかやります、ツタデンマ。
■ファイターが甲斐甲斐しくツタに水をやってるところに現れる、ツタデンマとメガール将軍。
ツタデンマはメガール将軍に「これで仮面ライダーに邪魔されることもなく、ツタデンマの威力を発揮出来ますぞ」と言います。
沖一也の死体も確認していないのに勝ったつもりとは、甘い奴です。やはりしょせんはツタ。
そして、一也の死体を確認させなかったという点では同罪のメガール将軍は「中央電話センターの局長から、マスターキーを取り上げて、電話センターを自由にするというのだな?」と言います。
そんなこと、一言も言ってませんが。
まあ、過去の会話の流れでしょうけど。
あと、アジトにデカいダイヤル式電話のパネルがありますが、今ではあれが「電話」であることすら知らない人がいるかもしれません。
■中央電話センターの東山局長は、娘の具合が悪いと聞かされ、車に乗り込みます。
しかし、娘のひろこちゃんは、その車に乗っていました。
運転手は、娘と引き換えにマスターキーを渡せと要求。運転手は正体を見せます。それを見て「人間じゃない!」という、局長。
ツタです。
■ツタデンマに娘を人質に取られた局長は、電話センターに逆戻り。
「あ、ばけものだ(←棒読み)」という警備員ですが、怪人相手ではどうにもなりません。
■局長室まで戻される局長。
おお、ここは!
正面の東京地図は板で隠されてたり、ドアの文字は「局長室」になってたりしますが、緊急持出用のロッカーといい、コート掛けといい、電気スタンドといい、ここは紛うことなきの特命捜査課のセットではないですか!
その特命…いや局長室で「答えは簡単にイエスかノーか?」というツタデンマ。
多分、複雑な答えを解することができないのでしょう。なんせツタですから。
■すると、おとなしくマスターキーを渡す局長。娘は帰ってきますが、局長を見て「パパ…?」という、ひろこちゃん。
「娘!パパじゃないのか?!」と焦るツタデンマ。局長の正体は、沖一也でした。
「生憎だったなツタデンマ!その鍵は偽物だ!」
ツタデンマと対決する沖一也ですが、なんとこの男は課長の机の上を転がります。あとで課長に言いつけましょう。
■ひろこちゃんを助けにくるマスターたち。ドアの外も、まさしく特命捜査課。
そして、そのドアにツタデンマが挟まれています。
後日ここに撮影にくる特命課刑事たちも、まさかこのドアにあんなツタ野郎が挟まれていたとは、夢にも思いますまい。
■沖一也は、ビルの屋上でスーパー1に変身。もはやお馴染みとなった「無敵の勇者スーパー1」をバックに名乗りです。
相変わらず、ツタデンマの受話器から出現するファイターですが、スーパー1はファイターなど次々と人形のようになぎ倒します。
ファイターは電話ヌンチャクなんて小洒落た武器を使いますが、逆にスーパー1に利用されてしまいました。
しかし、ツタデンマの殺人音波には、やはりスーパー1も苦戦。
スーパー1は、遊具なのか何なのかよく分からない建造物の中に入り込みます。
「きーみはースーパー スーパーライダー♪」という勇壮な歌詞と、物体の中をハイハイで移動する、全然スーパーじゃないスーパー1との対比が実に鮮やかです。
■「この中では殺人音波は使えん、この殺人ガスで溶かしてやる」というツタデンマ。
何でもかんでも「殺人」をつければいいってもんじゃありません。
■しかし、スーパー1はすでに脱出。
必殺のデンマ火炎も冷凍ガスで凍らされたツタデンマは、スーパーライダー月面キックをくらいます。
そして「もしもし、メガール将軍、もしもし、残念です〜!」と、ちゃんと敗北の報告をして「テラーマクロ!」と叫んで爆発です。
なんだか「太陽にほえろ!」の山さんやボンみたいな奴です。
そういえば、今回オープニングに名前はありましたが、テラーマクロの出番はありませんでした。
■谷モーターショップには、誰が電話したのか、盛りそば20人前、上にぎり50人前、ギョーザとレバニラ炒め40人前が運ばれてきますが、間違いだと分かって、出前の人たちは文句を言いながら退散していきます。
きっと、さっき一也に用があると電話したのに「死んだ」とか言われた人が、腹いせにイタズラしたのでしょうか。まあ、声が八代さんだったので、ツタデンマの確認電話だったのかもしれませんが。
あと、そば屋の人は「今日で5回目だよ」て言ってましたが、普段どんだけイタズラ電話かけられてるのでしょうか。
というわけで、今回の撮影のあと、ドアの「局長室」をまた「特命捜査課」に貼り替えるスタッフの苦労を思いながら、今夜は終わりです。