【脚本 江連 卓 監督 山田 稔】
2ヶ月の間に床くらい直しとかんかい。
◆ ◆ ◆
長寿庵という寿司屋で二千円分食い逃げした顔のデカい男が町中を逃げています。
それだけでも重罪なのに、今度はスポーツ店からバットを盗んで、周りの人を脅します。窃盗罪一件追加です。
すると、どこからともなく背の高いかっけーお兄さんが現れます。
お兄さんに盗んだバットで立ち向かう顔の大きい男ですが、逆にバットが折れてしまいます。器物損壊罪追加です。
お兄さんは「この町で暴力は許さん!」と、顔のデカい男を徹底的にのしてしまいます。
まさに歩く言動不一致のような気もしますが、この際気にしません。
男は死んでしまったのでしょうか。だとしたら、2000円のために死んでしまったことになります。それはそれで哀れです。
■違う日、谷さんとハルミは町中で暴…いや珍走族と出くわします。
「危な〜い!」
「まったくなんて奴らだ!」
という二人ですが、そういう貴方たちは、明らかに歓楽街の路地裏みたいなところで何をやっているのでしょうか。
しかも、明らかにジョギングスタイルですが。
■珍走族は、子どもを轢き殺しかけますが、またそこへかっけーお兄さんが登場。
お母さんからお礼を言われるのもそこそこに、かっけーお兄さんは、これまた珍な奴等を徹底的にのします。
そこに居合わせた沖一也は、若干珍な奴等に同情的ですが「町の秩序を乱す奴に情けは無用だな」という、お兄さん。
全くその通りです。
それでも、もう許してやったらどうだという沖一也に対し「許す…?!さっきの坊やに何かあった時のことを考えてみろ!こんな奴等は徹底的に痛めつける必要がある!」という、お兄さん。
おっしゃる通りです。
■お兄さんの名は大石秀人。。拳竜会という道場を開いているそうです。
大石役は、かつて「恐竜戦隊コセイドン」で主役をつとめ、以後も得意のアクションを生かして数々のドラマに出演、スーパー1の劇場版にも出演した、大西徹哉さんです。
■ハルミの女の直感では、大石はいやな感じがするそうです。
ついでに、怪人の中に怪人が住み着いていることも見抜いていたのでしょうか。
■沖一也とハルミたちが稽古をしていると、大石の弟子たちが一也を急襲します。
そこへ、弟子の非礼を詫びに現れる大石。大石は、一也を拳竜会にスカウトに来たようです。
大石に、君の狙いは何だと尋ねる沖一也。
大石は「この世から無法なものを根絶やしにしたいと思っている」と言います。
「それなら法律や警察に任せておけばいい」という一也ですが、「法律や警察があっても、この世に無法なものがはびこっているじゃないか」という大石。
全くもってその通りだと思います。
■大石と気の合わない一也たちは、また別の場所で稽古。今度は呼吸法のようです。
地球上の全ての空気を独り占めしようとしたハルミは、得意の寄り目を披露して卒倒しますが、なかなか根性のある倒れ方です。
そこへ、ハルミの頭を轢き潰すような角度で、チョロがバイクでやってきます。チョロの話によると、町の有力者が大石に立派な道場を寄付したとのことです。
って、
まんま第2話に出て来たのと同じやないかい。
■すっかり町の人々の心を掴んだ大石。しかし、全てはドグマの計画通りでした。
本来の姿・ドグマ怪人ライギョンの姿となる大石。
ライギョンの声は大西さんが自ら担当されているようですが、声だけ聞いていると、俳優・声優として活躍され、特に特撮ものでは「メタルダー」のクールギンなどの声で知られる、森篤夫さんに声がよく似ています。
■ライギョンに声をかけるテラーマクロ。
ドグマ秘密警察をつくる作戦がちゃくちゃくと進んでいることに、たいそう満足そうです。
■ある夜、黒づくめの男に襲われる一也。
男の正体は大石、そしてライギョン。
一也はスーパー1に変身して戦います。
全編、夜の格闘ですが、夜の撮影は照明とか大変そうです。
■スーパー1は、超高温火炎でライギョンを攻撃、続いてパワーハンドでライギョンの目玉をくり抜く戦法です。
いくら相手が悪の怪人とはいえ、なかなか倫理的に問題のある戦法です。
そしてライギョンは、スーパー1の旋風キックを受けます。
身じろぎひとつしないライギョンを足蹴にするスーパー1。
いつもなら爆発してくれるのですが、今回なぜか死体がモロ残っているので、さしものスーパー1も手では扱いたくなかったのでしょうか。
■ライギョンの屍を前に「死んだか。大石がドグマ怪人だったとは。それにしても、恐るべき敵だった」というスーパー1。
そして、爆発しなかったことには何の疑問も持たないまま、スーパー1は去っていきます。
■「何だ何だ、口ほどにもない!」と、ファイターにまで足蹴にされるライギョンですが、その屍から新たな怪人・ギョストマが現れます。
もちろん、沖一也はギョストマのことを知りません。
■明くる日、良の友達が病気のお母さんに食べさせたいという出来心で、4000円の数の子を万引きします。
すると、それを追ってきたのはブレイン党員大石の配下のドグマ秘密警察です。
連中は、良の友達を道場でリンチにかけるといいます。
■そのころ、谷モーターショップでは、大石を倒したと思いこんでいる沖一也の武勇伝に花が咲いてましたが、良の言葉で事態は一転。一也は拳竜会の道場に向かいます。
■そこには、死んだはずの大石がピンピンしています。
動揺する一也の心を見透かしたかのように「沖くん、何を驚いているんだ?私の顔に何か付いているか?」という、大石。
一也は大石に、彼を許すよう頼みますが、大石は「たとえ子どもといえども、罪を犯したものは罰を受けるのが当然だ!」と、聞く耳を持ちません。
ここらへんの融通の効かなさが、やはり悪の組織です。
■良の友達を救うために、大石との勝負に挑む一也。
その勝負の様子を伺い見る、玄海老師と弁慶。
老師は言います。
「いかん!一也は迷っているぞ!」
■その言葉通り、一也は迷いまくり。
「分からん!どうして大石は生きているんだ?奴は不死身なのか?!」
やはり、怪人が爆発しなかったことをもう少し気にするべきでしたが、後の祭りです。
さらに「奴がドグマ怪人の正体を見せない限り、スーパー1には変身できない!」という一也ですが、おそらく今変身しようとしても、精神が集中できない状態なので、無理っぽいです。
そして、沖一也対大石秀人、というより高杉さん対大西さんという、動ける役者同士の見応えある格闘が展開されますが(大西さんバク宙!)、大石の強烈な投げをくらった一也の体は、まるで「柔道一直線」のように、道場の壁を突き破ります。
「赤心少林拳、敗れたり!」
しかし、そこへ老師と弁慶が乱入。
その混乱に乗じ、一也が道場を脱出するところで今回は終わりです。
■で、次回予告。
今回からは、本編の紹介ではなく、爽やかな笑顔の沖一也が登場。そして、
「今日は拳法の呼吸法を教えます。
お腹に力を入れて
息を吸って
止めて
ゆっくり吐く
これをやると、体にとてもいいんだ。
みんなでやろう!」
って、
今、そんなことやっとる場合ちゃうやろ。
ドグマ編、まず第1の山場ですね。
武術家としての人間体を持つ怪人が前後編で活躍するという、第1話2話を彷彿とさせる展開です。ファイヤーコングは、確か石橋雅史さんでしたか。
変身後のライダーや怪人=大野剣友会の人たちが動けるのはもうわかってますから、変身前の役者さんがアクションを見せてくれると、何だか得した気分になれます。
高杉氏もそうですが、藤岡弘、さんから倉田てつを氏に至るまで、昭和ライダーの役者さんたちは動ける人ばかりなので嬉しいです。
平成ライダーの役者さんたちは……動けない事はないと思うんですが、どうも事務所の方針とかで危険なアクションはやらせてもらえないのかも知れません。やれば出来る人は多いと思いますが。
メインライターの江連卓先生は、武術系の熱いお話を書く人、という印象があります。御自身も中国拳法をおやりになっていたとか。
一方でこの人、初期の戦隊でたまに珍妙なお話を書いておられますね。ベーダー野球の話とか、桃井あきらが変装しまくる話とか。
拓さん
そうですね、最近でも動ける人はいるのでしょうけど、やっぱりアクションよりはルックス重視で選んでるのかなぁ、と思う節はあります。
スーパー1は、科学技術の粋を結集した改造人間と、自然とともに生き、自然を力とする拳法との組み合わせが、意外性があり、今見ても斬新ですね。
江連さんとしても、一度こういう本格的な拳法を使うヒーローを書いてみたかったのかもしれませんね。
デンジマンのときは、メインでなかったので気楽に書いてたんでしょうかねぇ。
でも、上原さんといい、長坂さんといい、ものごっついハードな話を書いてたと思ったら、とんでもないバカ話を書いたりするので、やっぱりすごい方たちだなと思います。