■脚本 杉村 升
■監督 小笠原猛
■あらすじ
一命を取り留めた竜馬だったが、しばらくは着化を禁じられる。
そして、謎の頭痛の原因は、一年前に逮捕した黒田鬼吉博士の仕業であったことが判明する。
黒田は、もう一体あったR24を使い、刑務所と研究所との秘密通路をつくり、ある装置を完成させていた。
それは、人間の獣性を増幅させ、ついには脳を破壊するという、恐るべき音波を発するものだった。
その音波を浴びた市民が、各所で暴動を起こす。
秘密の通路を発見した本部長は、黒田のアジトに踏みこもうとするが、黒田の怪電波により、危機に陥る。
それを知った竜馬は、命の危険も省みず着化する!
■ヒトコト
これが最終回だ!
今、万感の思いをこめて、あさみや紫苑のレビュー!
「毎日のように世界のどこかで戦争があり、人が人を殺しているんだ!そんな獣の命を、ウインスペクターは後生大事に守ってるというわけか!」
まさに真実をついている、黒田博士の言葉。
その現実は、設定年代であった1999年を遥かに過ぎた現在においても、残念ながら変わっていない。
この言葉は、ひとり本部長、そしてウインスペクターに向けられたものではなく、全人類に向けられた、黒田博士の姿を借りた、杉村さんのメッセージであろうか。
ウインスペクターは今回で最終回だが、レスキューポリスシリーズは、新たな高みを目指して、「ソルブレイン」へと続く。
それもあり、この回は「ウインスペクター」の最終回であると同時に、次回作のテーマを示した、ソルブレインの「第0話」の意味あいもあるように思える。
本部長が新たに作る組織のテーマは「被害者だけでなく、犯罪者の心をも救う」
その理想は具現化するのか、それとも…。
この回、「1年ぶり」に、黒部進さんが黒田博士役として再び登場。また前回に引き続き、R24役として、関根大学さんも出演している。
■ミドコロ
▽最後までとことんバンク映像の「東京警察病院」。
▽あまり家庭的な描写がなかった純子さん。
その純子さんが、突然リンゴ切って渡すなんて、私だったら即効惚れる。
▽やっぱり、生活感のさっぱりない竜馬隊長の部屋。
▽「東京を獣の街にして、ファイヤーもウインスペクターもぶっつぶしてやる!」という黒田博士。
まあ、別に貴方の装置なんか使わなくても、もともと獣の街のような気がしなくもないですが。
そう、人間という名の獣のね。
▽あ、今、南光太郎と同じ服、同じバイク、同じヘルメットの人が映ったような…。
▽やっぱり、最終回でも現場に出てきちゃった本部長。
▽対決!ウルトラマンvs.仮面ライダーV3。
この二人のやり取り、ベテラン俳優同士らしく、濃い、見応えのあるシーンです。
▽マドックスも万感の思いを込めて、最後の「着化!」
▽最終回でも、やっぱりゴレンジャー時代の爆発特撮映像。
▽この作品の真の主役が誰であったかを如実に示す、ラストカット。
■超人機メタルダー楽曲 流用カウンター
本編使用 20曲中 9曲
流用率 45%(あさみや紫苑調べ)
杉村升さんはもうお亡くなりになられたのですね。
「仮面ライダーBLACK」を降板した上原正三氏に代わって
見事に完結させました(「RX」に関わらなかったのは賢明)。
映画「仮面ライダーZO」でも「父と子の絆」を48分間でしっかり描いていました。
ちなみに、その次の「J」は上原氏で「ZOより面白く書く」と言った結果は・・・単なるヒーローの虐殺ショーでした。
優秀なシナリオライターが必要です。特撮だけじゃなくドラマも映画も!
影の王子さん
そうなんです。もう杉村さんの脚本作品が見られないのは残念ですね。
まあ、「RX」を書かなかったのは、「ジバン」を担当することなったからかもしれませんが、結局のところ、突然変異的な「ジェットマン」は別にして、1990年代後半以降の戦隊は、「ジュウレンジャー」や「ダイレンジャー」で杉村さんが作った流れを踏襲しているわけですからね。
それに、杉村さんがメインを担当された作品は、どれも最後に明確なテーマが提示されていて、良かったです。
特にダイレンジャーの最終回については、私にとっては、これを超える最終回は、おそらく二度と現れないと思います。
上原さんも、好きな脚本家のひとりではありますが、こと「オーレンジャー」だけに限って言えば、杉村さんが目指した作品の方向性を、上原さんに、どんどん違う方向に持っていかれて、杉村さんが必死に抗っているというふうに感じていました。
まあ、その辺は、プロデューサーとかの責任でもあると思いますが。
私もシナリオの書き方の勉強をしたことありますけど、脚本っていうのは、ひとりで書いているようで、実はひとりでは書いてないということもあり、なかなか難しいですね。
我々が「すごい!」と思うような才能の持ち主が現れることを望みたいですね。