【脚本 佐藤五月 監督 天野利彦】
桜井くん、君も人様にそんなことが言えるようになったんだね〜ww ←親父さん口調で
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あいたたた…。これはヒドい話だ。
これ、企業秘密漏洩にからむ殺人と、女スリ(+つきまとう刑事)の話は、明らかに「別の話」にするべきではなかったのか?
まあ、女がやった置き引きのせいで、その姉が殺される→知ってショック→更生する という流れで話を考えたのだろう。
しかし、そのせいで、もっとも描かれるべきものがないがしろにされている気がする。
この話でもっとも糾弾されるべきは、たかが企業秘密を守るためだけに、それを盗んだ人物と、たまたまそこに居合わせただけの女性を虫ケラのように平然と殺すクズ人間共の残忍さや、そういう人間はをつくりだした腐った企業風土、そして残されたものの悲しみではないのか。
それが、あの訳の分からない女と、その連れが、話をかき乱してくれたせいで、本来描かれるべき部分に光が当たらず、ないがしろにされてしまっているのが、非常に残念。
もし「なつみの更生」を主眼にするなら、やはり、これとは別の話にするべき。
なつみにつきまとう刑事というのは、演じた役者さんをふくめ、あれはあれで面白かったのだから、もっと違う話の作りようがあったはず。
それを一緒にしてしまったことで、どちらも中途半端になっていて、非常に残念である。
数々の名作を生み出し、今回も、ある1曲を意図的に使う天野演出ではあるが、さしもの天野演出も、今回ばかりは失敗に近い印象を受ける。あの曲が流れる度に「うわ、またあの女出てきて話ぶち壊しだよぉ…」と、思ってしまったのだから。
まぁ、役者の演技力の問題だったのかもしれないが…。
てか、そもそも、この話で一番解せないのは「命を狙われるようなものが入っているカバンを、立ち食い蕎麦屋で足元に置くか?」ということである。
普通に考えれば、それほど大事なものなら、絶対に肌身離さず持ってるか、目の届くところに置くだろう。
それを、雑踏のなかの蕎麦屋、しかも目の届かない足元に置くなど、言語道断。
ここなんかも、人間の心理の整合性などを考えずに「スらせるためのお膳立て」としてつくった状況設定としか思えない。ここらあたりの不備も、この話があまりよくなかった一因となっているのではないだろうか。
この回、桜井が市橋という、なつみの連れに「タバコの投げ捨てはいかんな、拾え!」という描写があるが、
アンタも日本に帰ってきた頃は、バシバシ投げ捨ててなかったかね?
(2011/10/30)