【脚本 石松愛弘 監督 三ッ村鐵治】
足につけた加速装置・ターボユニットは伊達じゃない!
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架空の国の革命がどうというところから入ったと思ったら、今度はエアロビクスという、よく分からない導入部から始まる回。
ご本人がアイデアとして気にいっているのかどうか分らないが、第77〜79話の「挑戦」3部作を、無理やり1話完結にした印象。
で、あまり心に響かない。
図式としては、「挑戦」編でもあったように、
・巨悪に立ち向かう特命課
・そのためには一般人もエサにする
・一般人に犠牲者が出る。
・特命課を信用しない一般人が巨悪に立ち向かう
というもの。前述の3部作と今回と違うのは、課長が全面に出ていない点(今回は、叶が主役扱いで間に入っている)、和子が殺されずに生き残った点(挑戦編では、この役どころにあたる野際陽子の演じた女が殺されている)。
しかしながら、番組草創期ならともかく、放送時期的に、ここにきてもはや「非情な特命課」というのは、番組のイメージに合わなくなっていることは明白。
おまけに、今井洋介が殺されたのも、単に保身のための行動にしか見えず、自業自得な面があり、あまり共感を覚えない。
その妻にしたって、行動が支離滅裂で、結局生きたいのか、死ぬ覚悟ができているのかよく分からない(野際陽子の役の方は、まだ一本芯が通った人物のように思えた)。
だいたい、生命保険に入ったところで、入った直後に何かで死んだとしても、あまりに期間がないので、保険会社も怪しんで、簡単に金は出さないだろう。
それに、女性というのは「共感脳」であり、たとえどんな状況になろうとも「生きていく」という選択をするものだそうだ。
そういう視点から見ても、どうも和子の行動は、よく分らないところがある。
特命課の方も、結果的に叶編になったような印象を受けるが、実に中途半端。
叶編にするならするで、もっと徹底的に課長にくってかかるとか、他の刑事と対立するとか、もっと目立つ動きをさせた方が良かったのではないか。
というわけで、私的には、挑戦編の短縮版という以上の感慨を受けなかった回である。
あ、いや、ひとつあった。走っている和子の「加速表現」。
エクシードラフトか!と、思ったら、監督が三ッ村さんェ…。なんという先見性!(?)
それにしても、マイクロフィルムを隠した場所が、子供にあげたオモチャの中とは。
ショッカーに狙われた科学者か。
で、この回、以前そのショッカーに狙われたことのある、特捜での「大物」役ではおなじみの、神田隆さんが出演している。
(2011/10/29)