特捜最前線 第470話 殺人依頼をする女・あの人を殺して…!

【脚本 宮下隼一 監督 天野利彦】

南隊員と呼べ!!

◆   ◆   ◆

「手すりのペンキに指紋が残っている」というくだりで「あ、それ“逮捕志願”ね」と、苦笑してしまった回。

それだけにとどまらず、特に意識してそうなったとは思わないが、長坂脚本にしばしば描かれる“ある事件が、過去の別の事件を想起させる”というパターンの、宮下版とも言える作り。

それはいいのだが、作劇上、気になるところが多々ある。

列記すると

・7年前の事件を、もう一度洗い直して、殺しであることを実証しようと、特命課が思い立つのが遅過ぎること

・そのくせ、あっさり7年前の真相は判明すること

・その事件、時田が担当していたという事実が明らかになるのが、果たして物語の最後で良かったのかということ

やはり、刑事ドラマとしての面白さを求めるなら、7年前の事件の真相こそが、鍵を握っていると、もう少し早い段階で特命課が気づいた方が良かったのではないか。

また、なんせ7年前の事件であるわけで、もう少し特命課が悪戦苦闘したり、無駄骨を折ったりして、捜査が難航する様子があった方が、真相が判明する場面を、より効果的に描きだすことができたのではないか。

まあ、そうなると、まるっきり『逮捕志願』だが…。

3つめに関しても、できれば、話の中盤あたりで、今回コンビを組んでいた叶に打ち明ける、もしくは、時田が事件に深入り、または暴走などして特命課の連携を乱し、なぜかと問われて過去を話す…という流れの方が、自然ではなかったか。

冒頭、死んでいた男を時田が知っていたり、7年前の事件に詳しかったりと、先にそのことに触れた割には、“時田が事件の担当者だった”という要素が、けっして劇中で生きていたとは言い難い。

結局、芦川よしみ演じる女の方にフォーカスし過ぎてしまい、刑事ものとしては、やや面白さに欠けてしまったように思える。

それより、むしろ「時田編」であることを全面に押し出した方が、ドラマとしての面白さは増したのではないだろうか。

こうして考えると、長坂氏の手法がいかに優れていたかということを、今さらながら思い知るのだが。

あと、こういうことは、このサイトで触れることはあまり好ましくないのだが、いちおうこれも、ドラマを構成するうえでは重要な“要素”のひとつになっているので、少しだけ。

要は、たとえ7年前とは言え、男はアレした女を、簡単に忘れるものだろうかという、いち男としての素朴な疑問。

まあ、それこそ人数自体が数えきれないとかいうのであれば話は別だが、述べ総数はともかく、“並の男”であれば、“絶対数”くらいは覚えてそうなものだが…。

ま、それはワタシの話なので、置いとくとして。

この回、『はぐれ刑事純情派』でおなじみの、大場順氏が登場。正直この人、はぐれ刑事以外であまり見たことないからな…。

そして、『大鉄人17』のレッドマフラー隊・剣持隊長の原口剛氏も登場。髭と役柄のせいか、この頃よりも、何年も前のワンセブンの頃の方が、むしろ老けて見えるから不思議だ。

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