特捜最前線 DVD BOX Vol.8発売決定。が…

【やるべきことが逆ではないのか】

4月にDVD-BOXVol.7が発売される『特捜最前線』だが、どうやらVol.8が出ることが決定した模様。

東映のサイト

で、それについて、新たに傑作エピソードを公募することになったようである。

ただ、応募できるのは、なんと DVD-BOX Vol.7の購入者限定 という、とんでもないもの。

なんていうか、やることが小さいというか、せこい

しかも、募集期間は、DVD発売日から6月1日まで。4月21日発売だから、1ヶ月ちょっとしかないやん。

まあ、全話リストを公開したのは親切設計ではあるが…

全話リスト

そもそも、DVD化に先立って行ったファン投票の結果については、問題点が多いということは、このブログで度々指摘してきたのが、なぜそういう結果になったのか、発売元の東映は分かっているのだろうか。

ともかく、“投票は購入者限定”という、訳の分からない方法をとるということから、以下のようなことが考えられる。

《自分たちの商品に自信が無いのか?》

平たく言ってしまえば、東映としては、“投票権”というオマケをつけることで、DVDを買ってもらおうという魂胆なのか。

つまり、そうでもしないと、買ってもらえない商品を売っているのか。

ちなみに、Vol.7収録の回は、以下の通り。

第32話 殉職・涙と怒りの花一輪
第88話 私だけの三億円犯人!
第115話 チリアーノを歌う悪女!
第138話 警視庁窓際族!

第141話 脱走爆弾犯を見た女!
第177話 天才犯罪者・未決囚1004号!
第188話 プラットホーム転落死事件!
第195話 殺人メロディーを聴く犬!

第208話 フォーク連続殺人の謎!
第209話 三千万を拾った刑事!
第216話 レスポンスタイム3分58秒!
第223話 ピラニアを飼う女たち!

第239話 神代警視正の犯罪!
第248話 殺人クイズ招待状!
第315話 面影列車!
第437話 逆転推理・秋の花火のメッセージ!

あくまで私見だが、今まで発売された、特に「Vol.4」などに比べれば、買う価値があるように思えるラインナップではある。

もともと“ベスト100”入る事自体が理解に苦しむ「チリアーノ」「三千万を拾った刑事」「レスポンスタイム」「ピラニア」は論外としても、「神代刑事正の犯罪」「面影列車」は収録する価値はあるし、最後の有名大物エピソードともいえる「殺人クイズ招待状」が収録されていることで、商品としての価値は高まってはいる。

が、ファンとして、必ずしも買うべき商品かと言うと、そうではない。

決して安価でない、そして全くもって傑作とは呼べない話が入ってしまっているDVD-BOXを、2万円くらい出して買うか、というと、たとえ特捜ファンであっても、二の足を踏んでしまうだろう。

特捜ファンがそう考えてしまうくらいなのだから、特捜にあまり詳しいない人は、なおさら簡単には買わないだろう。つまり、あまり売れない可能性があるということだ。

そこ商品を、購入者限定の“エピソード投票権”でつって、DVDをかわせようという魂胆なら、なんと情けないことか。

発売元が、収録内容に自信を持っているのであれば、わざわざそんなものをつけなくても、売れると確信できるはずである。

結局“特典”は、単なる発売元の“自信のなさ”なのではないか。

《特捜ファンをナメてるのか?》

あるいは、「特捜ファンなら絶対買うだろう」「これを買わない奴は特捜ファンじゃない」的な、自信のなさとは対局の“上から目線の過信”の現れなのだろうか。

前述したように、Vol.7の収録内容は、決してファンの納得できるものではない。

それも分からずに、「こっちはDVDを出してやってんだ」的な考えが発売元にあるならば、それもまた間違いである。

それとも、

《特捜ファンを恐れているのか?》

ハッキリ言ってしまえば、DVD製作に関わっている東映の人間よりも『特捜最前線』に詳しい人は、日本中にたくさんいる。

もちろん、ワタシがそのひとりだというつもりはない。しかし、ラインナップについて物言いができるくらいは知っているつもりである。

思うに、特捜に詳しければ詳しい人ほど、皮肉なことに、DVDの購入意欲は、巻を追うごとに減ってきているのではないか。

で、あれば、発売元にとっては“目の上のたんこぶ”ともなりかねない、発売元よりはるかに『特捜』に詳しい人は、2回目の投票に全く関わらないことになる。

つまり、自分たちの仕事の邪魔になる存在、すなわち自分たちを脅かす、厄介で恐ろしい存在をを排除しようとしているのか、とすら思えてしまう。

まあ、3つめは考え過ぎかもしれない。しかし、投票権がついているからといって、今までDVDの購入を控えていたファンが、急に買うとは思えない。

となると、どういうことになるか。

2回目のエピソード投票結果は、さして売れたわけではないDVDを買った人が投票した、“極めて限定的なランキング”になってしまうということではないか。

先に書いた、1回目のランキングの問題点は、「全ての特捜ファンの意向が反映されていない」ことであると思う。

まあ、知らなかったワタシが悪いといえばそれまでだが、だとしても、ワタシはいつからいつまで投票を受け付けたか知らないし、そもそも投票自体を、どのような媒体で、どのように呼びかけたも知らない。

ワタシが“投票”があったことを知ったのは、DVDの発売の告知があったころ(確か、2006年の6月か7月)。もちろん、その時点では投票は締め切られていたし、投票があった事自体、全く知らなかった。

つまり私が言いたいのは、東映のやってることは、全く逆だろうということだ。

新たにランキングがとりたいのであれば、むしろ「前よりもたくさんの人から応募してもらう」ことで、よりファンの意向を反映した、信憑性のあるランキングにするべきではないのか。

ましてや、今回の投票の対象になるエピソードは、1回目のランキングに入っていない回に限定される。

そうなると、客観的に見て秀作と言えるエピソードが除外されて、タイトルのインパクトだけで選ばれたような、内容はとるに足らない話がランクインしてしまうという事態が(1回目のランキングの下位のように)起こりうる。

それを避けるためには、1回目よりも、より多くの人からの投票を募り、より客観的な結果が出るような投票方法を取らなければならないのではないか。

それなのに、投票権があるのは、DVD購入者のみという、極めて限定的な投票や、それによって出る結果に、どれだけの信憑性と意味があるのか。

そんなランキングなら、むしろ投票など行わない方が良いのではないのか。

さらには、発売元が、1回目の投票をしたファンに“責任転嫁”をしているように思える。

ここでは何度も書いたが、あのランキングは絶対ではない。おそらくサンプル数も十分ではないし、下位ランキングは、ハッキリ言って「なんでこんなのが入ってるの?」と、特捜に詳しい人なら首をかしげざるを得ない“駄作”が、多数ランクインしている。

このようなランキングであるにも関わらず、客観的な判断をせず、ランクインした回を、「100位に入ってんだから仕方ないだろ」とでも言わんばかりに、機械的に、もしくは惰性で収録しているようにも見える。

つまり、発売元、ひいては“製作元”としても誇りも意地もなく、質の悪い回がDVDに収録されて、かりにそれで売り上げが悪かったとして、そのことを特捜ファンに“責任転嫁”しているようにすら思えるのだ。

具体的に言えば、100位以内に「慕情」が入っていて、Vol.8に収録するつもりらしいが、これを収録してしまうと「面影」「償い」も、収録せざるを得ない。

あまりファンの支持を得ているとは思えない、この変則3部作を無理やり収録して、真に収録すべき傑作エピソード3話分を無駄にしてしまうのか?

あのランキング、特に下位は全くアテにならない。それは、ある程度『特捜』に詳しい人であれば分かるはずである。

逆に、例えば『東京,殺人ゲーム地図』など、どう考えても傑作と言える回が、ランキングに入っていないという理由だけで、収録が遅れてしまったということもある。

ワタシが発売元に言いたいのは、ランキングに依存せず、製作元として、真に傑作と言えるエピソードを発掘して、それを自信を持って収録してDVDとして発売し、その成否の判断を特捜ファンに委ねる、という姿勢を持っても良いのではないかということだ。

それこそが、製作元としても役目であり「責任」でもあるのではないか。今の東映には、それを自ら放棄しているようにすら見えるのだ。

ワタシが、ここまでDVDの内容について厳しく言及するのは、『特捜最前線』DVDは、“特捜ファンでない人”にもたくさん見てほしいし、DVDを見たことによって、新しい“特捜ファン”になってほしいと願うからだ。

そのためには、「特捜ファンとして、誰に見せても恥ずかしくないエピソード」を収録してほしいのだ。特捜ファンでない人がお金を出して買っても、絶対に「損した」と言わせない商品であってほしいのだ。

その意味で言うと、Vol.4以降の内容は、自信をもって人に薦められるものかというと、どうしても疑問符がつく。

このブログでも「これはDVDに収録しても良い出来」である回には、その旨を明記するようにしている。特に番組後期は、前期の傑作群に隠れて埋もれてしまっている感があるが、探せば、前期のそれに匹敵するくらいの良い作品が、けっこうあるのだ。

それは、ただ単に“ランキング”をとれば出てくるような性質のものではない。それが“投票者限定”の、極めてサンプル数の低いランキングなら、なおさらだ。

もしかしたら、もはやランキング依存ではなく、販売元、そして日本全国にいる特捜ファンの直接的な意見を反映し、多元的なデータを集めて、DVDに収録する回を決めるべき時期に来ているのではないか。

そうまでしてでも、『特捜最前線』は、後世に残すべきテレビドラマなのだから。

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