【脚本 宮下隼一 監督 村山新治】
「声紋鑑定」という、最先端の科学力を駆使しつつも、本当の犯人探しは刑事たちの“足”で見つけるという、アナログ捜査との対比は面白い回。
特命課は、誘拐犯を特定するため、テレビ映像から転写した映像に映っている7.8人の行方を追う。
写真に映っている人物は、正面を向いているものもいれば、後ろ向きのものもいる。
もし、正面向きの人物が犯人なら、面白くも何ともないな…と思っていたが、そこはクリア。
ただ、見つかった誘拐犯人のシーンのために、第4パートまるまる使うほどのことはないように思えたのは残念。
いちおう、誘拐の動機は“博打で借金があった”というもののようだが、それで子供を誘拐して身代金を奪おうとした動機としては、どうも弱い。
それが動機だとしても、一度取引に失敗したら、次の要求を出さずに諦めるというあたりは、執念深さがない。
また、身代金は諦めても、子供は返さずにほったらかしという非情さも、それがいったいどういう性格からくるのかというあたりも描けていない。
最後は、自分の子供のことを思って、誘拐した子供の居所を白状した方らのようだが、だとすれば、子供をほったらかしにした非情さと矛盾する。
そのあたり、誘拐に焦点を絞るのであれば、もっと誘拐犯のキャラクターを描き込むべきだったように思う。
でなければ、写真の人探しや、子供の居場所探しの方を、もっとスリリングに展開した方が、話としては面白くなったようにも思う。
というわけで、全体として、悪くはないとは思うが、もっと面白くできる要素を展開に生かしきれなかったという印象を拭えない、残念な回であった。
この回、コム長官でおなじみの西沢利明氏、『忍者キャプター』での警官役の小島三児氏が出演。
また、特撮では怪人等の声でおなじみの、西尾徳氏も素顔で出演している。