【脚本 佐藤五月 監督 北本 弘】
特命課キラー・新井晴美ふたたび!
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「辞書でな、“真面目”ってのを引いてみろ、“特命課の紅林”って出てるからな」とまで桜井に言われる、生真面目男・紅林が、人妻に恋する話。
紅林が惚れる女は、『人妻を愛した刑事』で吉野が惚れたのと同じ、新井晴美。
『人妻-』は、また違うパターンだったが、こういう話の場合、ハッピーエンドに終わるはずがないので、大別して、女が死ぬか、女を逮捕するかのどっちかなのだが、今回は後者のパターン。
まあ率直に言うと「特捜最前線」としては、たいそう不満の残る話なのだが、“紅林の悲恋話”として見るならば、それはそれで堪能できる回なのではないだろうか。
一時は、刑事を辞してまで彼女と一緒になろうとしていたが、結局は特命課にとどまることになる紅林。
そんな君に、Gメンの黒木警視正の言葉を贈ろう。
「紅林刑事役以外に、お前に似合う役はないぞ」
「刑事以外にお前に似合う仕事はないぞ」
それと、これはふと思ったことなのだが、佐藤五月氏の特捜レビュー作『深夜便の女』も紅林主役回、そして、おそらく佐藤氏としては力を入れたであろう、刑事の恋愛話も、紅林主役編。
脚本家それぞれに、お気に入りの刑事がいるのは、よく言われることではあるが、そう考えて見ると、佐藤氏いちばんのお気に入りは紅林、ということであろうか。まあ、これはワタシの推測ではあるが。
この回、その「Gメン75」で山田刑事を演じていた藤木悠さんが登場。せっかくなので、もう少し良い役で出して欲しかった。
さらには、刑事部参事官役として、ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長こと、中山昭ニさんが登場。
神代の上役というのは、並の役者では、二谷英明に“役者負け”してしまうのだが、さすがにキリヤマ隊長は、課長とタイマンをはっても、見映えがする。
ていうか、やっぱり特撮最前線。
ついでに、かつて紅林が情報を金で買っていたことに対して、「特命課はチームワークで成り立っている、個人的なスタンドプレーは許さん」という、神代課長だが、
アンタだって、昔は年一回ペースで暴走してたやろが。
…ところで、拳銃密売の件はどうなった?