【脚本 竹山 洋 監督 三ツ村鐵治】
「お骨を拾ってるとき、ちょっと気が遠くなりかけました。あまりにも軽いんで…。
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いわば、先週の話を受ける形での“吉野刑事殉職編”。
聞くところによると、この回は、吉野刑事役の誠直也氏自身が、竹山洋氏に脚本を書いてもらうことを希望したと言われている。
確かに、過去の作品を調べてみると、竹山脚本では、吉野主役率がわりと高く、また他の脚本家の話に比べ“カッコよく優秀な吉野”という色合いが強いように思う。
その辺があっての希望だったかどうかは定かではないが、とにかく、水曜夜10時枠で放送される、最後の特捜最前線として、吉野の殉職が描かれた。
話としては、警官の拳銃を奪った青年を、必死で説得して自首させようとする吉野、その吉野の説得は青年に伝わったものの、青年が逃げ込んだバー店員のの無駄な行動によって、青年の持っていた拳銃が発射され、弾丸が運悪く吉野を貫き、吉野は死亡するというもの。
殉職回というのは“結末がはじめから分かっている話”であるだけに、作劇も難しいのだが、殉職という要素以外の“何か”があった「津上殉職編」と比べると、どうしても“死んで終わり”という印象をぬぐえない。
この第435話は、8年半レギュラーを務めた吉野が降板するという意味で“重要な話”である事は間違いないのだが、それは必ずしも“傑作であること”を意味するものではない。
よって、私の個人的な感想としては、この回自体を傑作と呼ぶには、もうひとつ何かが足りないように思え、それがまた残念でもある。
とはいえ、課長の前述したセリフや「一番手のかかる息子でした」という言葉、
「あんな無骨な顔しやがって、何かってば女に惚れて、花を贈って…あいつは死んじまったのに、花だけはこんなに綺麗に咲いてやがる。毎日こんな綺麗な花、見ていられるか…」
と、鉢植えを壊す橘、特命課にあって、いかに吉野が同僚から愛されていたかを表す演出は、見るものの涙を誘うに十分すぎるものであった。
こうして、第1話から番組を支えた船村・吉野両刑事の降板によって、特捜最前線の“黄金期”は終焉。
次回の2時間スペシャルは、残り1年半となる番組の、いわば“終わりの始まり”となるものであった。
ちなみに、ではあるが、津上・吉野の両刑事が殉職したのは、いずれもおやじさんの不在時。
同僚の刑事を失ったとき、あのおやじさんは、果たしてどんな反応を見せたのか…。それにはちょっと興味があるのだが。
お久しぶりです!とうとう吉野殉職の話が放映されましたね。リアルタイムでは、吉野が撃たれ倒れるというシーンは見た記憶があるんですが、その前後のシーンははっきりとは知らなかったので・・・。この時特命課に船村のおやじさんがいたら、というのは僕も同じ考えですね。ところで、この殉職話は演じた誠さんとスタッフ以外の人(共演者)には知らされていなかったというような話を聴いた事があるんですけど。
>吉野・津上のファンさん
こちらにもお越しくださいまして、ありがとうございます!
撃たれた後、一言も発することなく絶命するというのは、衝撃的でしたね。このあたりにも、もしかしたら誠直也氏の要望があったのかもしれませんが。
>共演者には知らされていなかった
そうですか!それは初めて知りました。
あらかじめ知らせないとによって、共演者の心情を(予想もせず急に死んだという感じを持たせて)吉野の死に際して高めようということだったのでょうか。
>おやじさんがいたら
同じ考えの方が、やはりいらっしゃったのですね。
そういう意味では「津上刑事の遺言」で、おやじさんが死んだ津上のことを語る機会が得られたのは、喜ばしかったです。
そういえば、第99話で、もしかしたら津上は殺されてるかもしれないと思ったおやじさんが、勝負しかけの将棋盤に駒を並べて少し取り乱すといったシーンがありましたが、あのあたりに、ヒントがありそうですね。
リアルタイムで観てましたが最低でした。
「降板するから」「ハイ、殺しました」
みたいで、何のひねりもありません。
誠氏も吉野刑事も大好きだったので、
腹立たしいです。
津上殉職の前後篇とは全く比べられません。
「特捜」ワースト10は確実です。
>影の王子さん、はじめまして!
コメントありがとうございます。
吉野は、男女問わず人気の高い刑事なので、確かにあの話では不満をもってらっしゃるファンもたくさんいるでしょう。
あくまで仮定の話ですが、番組として脂ののりきった時期(4年目から6年目あたり)に殉職回が製作されていたら、違ったものになったかもしれませんね。
もっとも、そうなってしまうと、吉野の活躍期間が減ってしまうわけですが。
ていうか、殉職でない降板でも良かったと思いますが、そのへんは誠氏の希望があったのかもしれませんね。
今、思いついたのですが、翌週のスペシャルで
吉野の殉職と時田・犬養の登場を同時に描いて
も良かったのでは?
もっとも長坂氏のシナリオですから、誠氏が却下
したでしょうが…
>影の王子さん
なるほど、そういう手もありますね。
ただどうでしょうか。そうなっちゃうと、吉野殉職が「おまけ」っぽくなる危険性が発生するかもしれません。
マジンガーZの終わりに、グレートマジンガーが出てきて圧倒的な力を見せたことで、Zファンから反感を買ったように…。