【脚本 佐藤五月 監督 村山新治】
そら16四死球も出したら負けるわな。
◆ ◆ ◆
カンコ「思いつきなんだけど」
紅林「ん?」
カンコ「犯行のあった夜、いつも巨人が負けてるの。ほらほら見て」
紅林「(新聞見る)」
カンコ「ね? あ、恥ずかしいから課長にはナイショにして」
紅林「課長!!!」
カンコ「言っちゃダメだってば!!」
紅林「カンコが見つけたんですがね、犯行当夜、必ず巨人が負けてるんです!」
神代「!!!(ものごっつい良い反応)」
ここのシーンは面白かったけが、全体的には“前半30分”と“後半15分”がバラバラに印象を受け、テーマが絞りきれなかった感があり、イマイチな回。
つまるところ、前半と後半、それぞれ違う話にした方が良かったのではないか。
熱帯夜の夜に、飲み屋帰りの男が殴られるという事件を追っていた特命課。
橘が3年前から知っている男に、犯行の疑いがかかるが、その男はシロ。しかし、それが分かった直後(本編でいうと30分経過付近)、今度は男の妻が死んでいた、という話。
だったら、前半の30分、別に要らないじゃん、と言った印象。前半の“石強打事件”と、妻殺しの件は、全くの別件。
で、あるならば、無駄にダンナさんと前半の事件を関連づけようとせず、ダンナ一家を巡るあれやこれやに絞って、話を組み立てた方が良かったのではないか。
今回も、サブタイトル後にテロップが出なくても、それと分かるような、佐藤五月脚本独特の人物が登場するし、奥さんと姑の折り合いが悪いというくだりも出てきていたので、そのいつもの作風で、家庭内における問題を顕在化させる、という話で良かったのではないか。
ていうか、ワタシとしては、むしろ「カッとした巨人ファンが犯人」という、前半の事件を膨らませる方に興味がある。
きちんとしたテーマと、上手いシナリオ構成さえ出来ているならば、“巨人の負けた日に決まって犯行が起こっていることが決めて”という展開は、なかなかいけるのではないか。
ここでは、東京なので“巨人ファン”ということにしたのだろうが、逆に、東京では少数派のファンを、事件の中核に据えることもできる。
そして何より、贔屓チームの勝ち負けに、人生をかけているような人というのは、決して少なくないので、作りようによっては面白い話になると思うのだが。
ちなみにワタシも、2008年に阪神タイガーズが優勝できなかったショックから、いまだに立ち直れてないし…(これを書いてる時点で、すでに2008年12月18日)。
なお本編とは直接関係ないが、BGMに、おニャン子クラブとか、中森明菜の歌が流れていて、時代を感じる。3年前のシーンでは、“わらべ”の歌が流れていた。
この回、MAC隊員・藍ともこが登場。完全に蛇足だが、藍ともこファンは、いまだにシルバーブルーメを恨んでいるのだとか。
それにしても、オープニングで、文字通り“おやじさんの穴を埋める”ように、各刑事の紹介映像がちょっとずつ長くなっているのが、なんだか寂しい…。