【けっして八百屋で総司令を放し飼いしてはいけません】
ギリシャ神話のパンを思わせる怪人・パニック。決してヤギ怪人とか言ってはいけません。
ちなみに怪人の声で、オープニングテロップと実際の声が、第1話と第2話では逆になっています。
テロップでは
「ネプチューンの声 山下啓介」「パニックの声 沢りつお」
となっていますが、正しくは
「ネプチューンの声 沢りつお」「パニックの声 山下啓介」ですね。
『長坂秀佳術』の「全仕事リスト」の仮面ライダーX欄も、オープニングのテロップどおりの表記(つまり誤記)になっています。
「余はゴッド総司令だ」と言われても非常に困ります。どう見てもただのニワトリですが。
はっ、そうか。確かに誰もまさかニワトリが日本征服の指令を送っているとは思うまい。それでわざわざニワトリを使っていたのか。ゴッド恐るべし。
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この回は実に長坂氏らしい作りが随所に見られる。
団地の住民が手に手に凶器を持って暴れていたのを見た神敬介が何か変わったことがなかったかと住民に問い、少年の吹いているフルートが住民を催眠にかけたという疑いが出たときの「となりの集会所までは距離がある。笛の音が聞こえるだろうか」という神敬介の疑問から、住民を狂わせた正体を見せるパニックという描写は、30分ものながらミステリーの面白さを十分に見せてくれている。
また、笛の音がなくとも住民が殺人鬼となり、子供でも平気でリンチにすると言い放つあたりは、人間の闇の部分に迫っていて非常に真実味があり、また恐ろしくもある。仮に今このシーンを放送すると、見た人間(特に子供)に悪影響があると、知ったような顔をして問題視するような輩がいるかもしれない。が、ここで真に目を向けるべきなのは、人間の恐ろしさであり、描写がどう、これを見た子供がどうとか言う部分ではないのである。
また、長坂氏自身が大テーマにしているという「親父」も、第1話に続いてここでも存分に描かれるところも興味深い。父から息子への、子から親父への思いがそれぞれ違った形で描かれている。
こうして改めて”長坂ライダー”を視てみると、仮面ライダーX初期の展開の是非はともかくとして、もっと長坂氏にたくさんライダーの脚本を書いてもらいたかったと思わずにはいられないのである。
あ、何かこの回だけ他と違う文章になってますが、多分そのうちいつもの調子で書き直すと思います。