【脚本 押川国秋 監督 宮越 澄】
まずはカンコちゃんにお茶だろうが。
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相変わらず「女性の犯罪体験手記シリーズ」、だそうで。
ハッキリ言って、これといって特筆すべきことがない、平凡な話。
子供を事故で失った過去を持つ女が、元夫を殺した女をかばう話なのだが、そもそも、この二人の女の関係が(少なくともこのドラマ上では)稀薄。
それゆえ「なるほど、そういうことだから、かばうのか」と、視聴者に納得させるだけのものが無い。
最終的には、殺しの犯人の女は捕まるのだが、重要参考人として呼ばれたスナックの女と対面するときというのは、考えようによっては、
「かばってくれるって約束だったにのに、どういうことよ!
アンタ、自分の身が可愛くなって、アタシを警察に売ったのね!!」
となってもいいようなシチュエーション。
そうならなかったということは、二人の女の間に、強い信頼関係があったということになる。
で、あるならば、やはりそれを、ドラマの中でキッチリ描いておくべきであったろう。
それに、“ママが二人いる”と言われるくらい、スナックにしっょちゅういるような女だったら、周りの評判とか、もう少しいろいろ出てもおかしくないと思うのだが。
そもそも、紅林がスナックに来た時点で、スナックの女があまりにもボロを出し過ぎで「犯人としては骨が無い」という印象を持ち、結局そのまま話が終わってしまったという感がある(この女は殺しの犯人ではなかったが)。
他にも、例えばスナックに入り浸っていた男とか、後で深く話に関わるのかと見せておいて、実は“使い捨て”のキャラだったりと、脚本自体が「キャラクターから派生した物語」ではなく「単に話を都合よく構成するためにキャラが配置されたもの」という色合いが濃く、結果として、あまり見応えの無い話であった。
というわけで、この回唯一の見所は、カンコちゃんが延々吉野を引きずるシーン。
雨の中、カンコちゃんに抱えられる吉野は、気の毒なのかラッキーなのかよく分からないが、カンコちゃんは間違いなく気の毒。腰とか痛めてそう。
この回、『子供の消えた十字路』をはじめ、特捜にも多数出演している沢井孝子さんが出演している。