特捜最前線 第392話 幼児誘拐・5年目の再会!

【脚本 広井由美子 監督 天野利彦】

このころ「●年目の浮気」とか流行ってたっけか。

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「特捜」でも珍しい、殺人事件の起こらない話。

あまりにもタイトルがネタバレで、テロップが出た時点で、藤木悠さん演じる男と、その子供が実の親子ではないことが丸分かりなので、「これは今回は期待できないぞ…」と思ったが…。

結論として“誘拐事件”ではなく、“子供にとって、どっちに帰った方が幸せなのか”というところに主眼を絞って書かれた話であり、それが功を奏していて、ちゃんとした話になっていた。

野崎が、妻が誘拐したシンイチを、ずっと育てていたため、本当の両親と再会しても、それを拒否し、野崎を求めるシンイチ。

誘拐された時に、シンイチがあまりにも幼かったため、5年という歳月が障害になり、親子関係が構築できないという、事件の悲劇性や、誘拐犯ということにはなるが、そこらへんのゴミみたいな父親以上にシンイチのことを思い、そして育て、シンイチからも慕われる野崎の人間性など、色々な要素がよく描けていたと思う。

もっとも、“時効まであと1週間”という部分を上手く話に絡めることができれば、また違った話になったとは思うが、前述したように、あまりあれもこれもと欲張らず、テーマを絞ったことが成功しているので、これはこれで良いのだと思う。

さらには、本当の両親の元に連れていったのに、シンイチから「人さらい!」と言われ困惑したり、野崎が来るのを待ちながらも、後2日経てば時効ということで「来るな…!」と言ったり、自分をにらむシンイチに「憎め、もっと憎め」と言うなど、随所に吉野らしさが出ており、吉野編としてもファンの満足のいく話になっている。

前述の通り、サブタイトルがネタバレなのと、話自体の面白さという面においては不満の向きもあろうが、天野監督の情緒的な演出も冴え渡っており、十分、DVDに収録していい水準の出来であると思う。

これも前述したが、この回「Gメン75」の山田刑事こと、藤木悠さんが出演。哀愁の漂う男の役を、好演していた。

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