【脚本 佐藤五月 監督 藤井邦夫】
お留守番の吉野が出てくるまで28分!
◆ ◆ ◆
沖縄編2本目。
今回の主役は紅林。
前回の事件で、さんざん桜井に先輩風を吹かされたのが、よっぽど癪に障ったのか、とっても機嫌の悪い紅林…ではなく。
なぜだか無性に東京に帰りたがる紅林。それは一体なぜなのか。そして、その理由が、殺人容疑者を知っているであろう、千代の心情を解き明かすヒントになるという話。
刑事もので沖縄というと、たいていは「戦争」と結びつく話が多いのだが、今回はそこに焦点は当てられていない。
人には、落ち着ける場所、すなわち「ふるさと」が必要であり、それはどこであれ、人の心が決めることである。
だから、ふるさというものを知らない紅林にとって、現在働いている、そして住んでいる、他人からみたら、ただゴミゴミしているだけの「東京」こそがふるさとである。それが分かったとき、千代の心情を理解することができた、というところが、この話のテーマとして描かれている。
そのテーマ自体は悪くないのだが、事件を含めたストーリーそのものは、よくよく見ると不可解な部分が多い。
私が気づいたところを列挙すると、
1.殺人にまでいたる具体的ないきさつはどういうものだったのか
2.なぜ寺田は、水中銃なんて物騒なものを持ち歩いていたのか
3.なぜ、千代は殺人現場に居合わせたのか
4.で、結局、寺田を変えたのは何だったのか
まだあるかもしれないが、千代の母と紅林・橘、紅林と千代との芝居の部分が良いのでついつい見落としてしまうが、けっこう肝心なところが解き明かされていないというか、書く気がなかったのか?
まあ、他の部分はともかくとしても、寺田が変わった理由については、もう少し肉付けが欲しかったように思う。
そうすることによって、話の深みも増したと思うのだが。
ラスト、「私はますます東京が好きになった」という紅林が浜辺を歩くシーンは実に良い映像なのだが、言うにことかいて「ありがとう、沖縄」とか抜かしやがる紅林。
調子のいい奴だ。
前回に続いて登場の沖縄県警の人、大学生の持ち物を調べているとき、カメラをすでで鷲掴みww
橘、紅林のことを「紅さん」と呼ぶ。二人が特命課に入った頃の、ごく初期に何度かそう呼んだことがあったような。
その橘いわく「女は一度こころを決めると、鬼にでもなりますよー」佐藤脚本だと、重みがある。
そして特命課は、再び東京へ。
吉野、課長の椅子の感触、よ〜く味わっておけよ…。
(2011.10.27)