【脚本 長坂秀佳 監督 松尾昭典】
“マイコン”って響きが懐かしい。
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コンピューターによる犯罪を扱った、いかにも“新しもの好き”の長坂氏らしい一本。
せめて1990年代くらいなら、ネタとしては普通なのだが、1984年でこのネタに着目し、それで一本書いてしまうところが、やはりすごい。
冒頭、コンピューターに電話回線から侵入して、プログラムや内容を書き換えるとか、それによって患者の命に関わる事態に発展するとかいう説明に、困惑する特命課(というか、特に紅林)。
インターネット時代の現在なら、この説明を聞いて全く理解できないという人の方が少ないとは思うが、おそらく、当時の視聴者の大半は、この特命課の面々と同じような心境になっていたことであろう。
ま、そういう意味では、特命課と視聴者が“リンク”していたと言えるわけだが。
また、この事件を起こしたのが、3人の少年であったという点も、興味深い。
動機自体は、甘っちょろいガキ共の発想ということで、特に同情する余地はないのだが、コンピューターを使えば、たとえ少年であっても世間を揺るがす大事件を起こすことが可能であるという恐ろしさを示したという意味において、やはり先見性がある脚本であると言える。
加えて「12時間前にも何かあると思って」コンピューター室で待ち構えていた橘と桜井(実際に、その12感前に犯人から通信が入った)、病院側や特命課の裏をかいた場所に仕掛けられた爆弾など、長坂脚本の特捜らしい展開もあり、見応えのある一本となっている。
にしても、桜井はやたらコンピューターに詳しいが、一体いつ覚えたのだろう…。
あと紅林は、あの様子だと、今でもパソコンとか使ってなさそうだなぁ…。
それと、あの当時のバカでかいマイコン程度の性能を持つコンピューターは、今では多くの人が“携帯電話”という名前で、ポケットやバッグの中に持っているのだろうなぁ。