【脚本 長坂秀佳 監督 天野利彦】
「橘警部逃亡」「ホームビデオ招待状」に続き、一般公募から選ばれたプロットを、長坂氏が脚色した作品。
長坂氏の著書「長坂秀佳術」にある通り、長坂氏は、この作品を最後にいったん“特捜”を離れる。
いや、本当は特捜には戻って来ないつもりだったそうだ。
もし、そのまま長坂氏が二度と特捜の脚本を書いていなかったならば、この回が“長坂脚本最後の特捜最前線”となっていたのだ。
この回、正直なところ、前半は駄作のニオイがプンプンしていた。
見ながら、うわ、これが長坂脚本最後の作品にならないで良かったな…と、思い始めていたが…。
中盤を過ぎると、犯人の真の狙いが分かり始める。
桜井を捕えて心身共に痛めつけること。
女を痛めつけてその心身の衰弱に拍車をかけること。
そして、本ボシを尾行していた吉野が撃たれたこと、その撃たれた箇所、撃たれ程度、それらすべてが、“桜井を試すため”という一点に集約したとき、やられた!と思った。やはり一筋縄ではいかんな長坂脚本。
というわけで、この回は犯人を捕まえることよりも“桜井がいかに優秀か”というところに、話が帰結している。
前述した通り、この回を最後に、しばらく長坂氏は特捜を離れる。
ということは、もし長坂氏が復帰しなれば、復帰作にして超名作「掌紋300202」は誕生しなかったことになる。
そう考えると、世の中って分からないものです。
【いただいたコメント】
投稿者:水原純
2008/3/15 0:20
稲妻さま
いつもありがとうございます!
理屈抜きに楽しめた1本でした。
天野氏の監督作”らしさ”が随所にちりばめられてた作品に感じました。
ただ何となくラストの川地さんの逮捕の場面があっさり味だったような…
気のせいかこの集中放送の200回代と300回後半は作風が違うように感じるんですが稲妻さま、いかがでしょうか??
投稿者:稲妻猿人
2008/3/16 2:44
>水原純さま
長坂脚本の場合、必ずしも犯人逮捕にラストの主眼をおいてない脚本、というのがよくありますね(最終回もそうですが)。
今、ファミ劇で連続放送しているあたりというのは、私がケーブルテレビに加入する前に放送されたので、一部を除いては初見なのですが、確かに作風の違いはあるかもしれませんね。
単純に、200話から400話まで、期間にすると4年間ある訳ですものね。
300話台というのは、番組の方向性もかたまり、レギュラー陣も全く交代しいない“超安定期”のさなかなので、見る方も安心してドラマを楽しめる分、いかに特捜といえども、マンネリの感が多少あったのかもしれません。
それと関連して、レギュラーが固定している分、番組としての“事件”が起こっていないのも一因かもしれません(短期レギュラーは登場しましたが)。
一般的に傑作と呼ばれる回が、後半5年より、前半5年に集中しているのは、初期のころほどの、作品としての“挑戦”や“冒険”が、回が進むにつれてなくなっていったからかもしれません。
あ、もうすぐファミ劇の特捜の放送も400話台ですね。あれだけ同じ番組を何度も放送するファミ劇にあって、特捜最前線は、もしかしてファミ劇でもまだ一度も全話放送したことがないのでしょうか。
週に2話放送で残りが100本となると、単純に来年の今頃で、ようやく最終回、というあたりでしょうか。
まだまだ先は長いですね(笑)。
投稿者:水原純
2008/3/17 23:04
>稲妻さま
なるほど なるほど…!です!
毎度、奥深い尚且つわかりやすい解説
ありがとうございました!!
また、”特に”気になった回がありました
らご質問やご意見を頂戴します。
ありがとうございました。
投稿者:稲妻猿人
2008/3/18 5:49
>水原純さま
身にあまるお言葉、ありがとうございます!
私はまだまだ特捜ファンになってから日が浅い新参者ですが、日々「特捜」の知識と見識を深めていきたいと思います。
水原さまはじめ、皆さんのコメントも、このブログを構成する貴重なコンテンツにひとつなので、これからもぜひよろしくお願いします。