【脚本 長坂秀佳 監督 天野利彦】
「心では私は負けない。人を信ずる心では、誰にも決して負けないつもりだ」
アイディアに満ちた、非常に見ごたえのある傑作である。
この作品において、主眼は犯人を捕まえることではなく、おやじさんとつながりの深い、森田という男の無実を晴らすこと、これである。しかもそれは、”指紋”という、非常に覆し難い証拠に挑まねばならないことだった。
触れた覚えのない金庫に、なぜ指紋がついてるのか、いや、やはり森田が犯人だから、ついてるのか…。森田の犯行を立証するに足りる状況がそろっている中で、強硬に森田の無実を主張し、独自の捜査を続ける船村。それは当然、他の特命課刑事との軋轢を生む。
だがそんな中、橘がおやじさんの言葉を信じ、新たな事実を告げる。そして、おやじさんの捜査にに合流する吉野。名古屋からの吉野ライン、東京からおやじさんライン、そのふたつが、沼津で見事に繋がる…!
この作品における最大のカタルシスは、おそらくこのシーンであろう。そして、直前に息をひきとってしまった森田に、無実の報告をする…。真犯人逮捕は、ただの付け足しだった。
斬新なアイディアと、見るものを飽きさせない、アッと驚く展開。船村執念の捜査、特命課との対立と邂逅、そして親子の絆…。これだけのものを、1時間ドラマで描ききってしまう脚本と演出に、ただただ脱帽である。ワタクシの特捜ランキングでも、間違いなく上位ランクインである。
で、エンディングのテロップで、ひとつ気になったことがあった。
”小林綾子”?
確認確認…。沼津の文房具屋にいた、キャンディーを持った女の子…。アップではないので、確信は持てないが、やっぱりおしんか?
【この回はこのDVDに収録されています】
特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.1