特捜最前線 #359-406

特捜最前線 第369話 兜町・コンピューターよ、演歌を歌え!

【脚本 阿井文瓶 監督 藤井邦夫】…

ユニークなサブタイトルが際立つ回。
もちろん、話の中で実際にコンピューターに演歌を歌えと指示した訳ではないが、内容と照らし合わせてみると、実に情緒的な、良いサブタイトルのように思える。

この時期の『特捜』は、サブタイトルが出た後、脚本と監督がテロップで出る(Gメン75や時代劇系などでは既に多く使われていた方式、太陽にほえろなどはエンディングがないため、常にオープニングで脚本が誰か分かる)。

そこで“脚本 阿井文瓶”の文字を見て、正直期待していなかったのだが、心配のし過ぎだったようだ。

この時期、世間一般に広がってくコンピュータと機械化の波、その波に押し流されていく人々の末路が描かれているこの回。

今、こんな話を作ったら、ありがちな話になってしまうのであろうが、1984年であることを考えれば、先見性のあるテーマであり、そのテーマを、あまり奇をてらわず、分かりやすくドラマにしたところに好感が持てる。

話は、強盗殺人事件の容疑者を、コンピューターに入力された過去のデータから絞り込む桜井と、その絞り出された人物を知っており、桜井のやりかたに疑問を感じる船村の対決という形を軸にすすんで行く。

思えば、1997年の『踊る大捜査線』でも“長年の刑事の経験と勘 VS 最新鋭のプロファイリング”という図式の回があった。この時は結局、犯人探しにおいては、ベテラン刑事の和久さん(いかりや長介)が、プロファイリングに負ける、という話になっている(ただし、この後プロファイリング組がミスを犯す“オチ”がついている)。

しかしここでは、コンピューターが前歴者から弾き出した男と、聞き込みから浮かび上がった男、両方が事件にからんでいた、という“両方正しかった”ということになっている。

コンピューターを使うことが是か否か、コンピューターが全てにおいて人間を幸せにするのか否か、それはなかなか結論の出ない問いであることは、この頃も今も、変わってはいないようである。

この回、『爆破0秒前のコンピューターゲーム』を受けてか、今回もパソコンに詳しく、それをいじる役割を担うのは桜井である。これは桜井に適役であると思う。

また、劇中で桜井の兄である桜井弁護士が出てきたことになっているが、かつて桜井弁護士を演じた岸田森は、このとき既に鬼籍に入っているので、登場はなかった。

さらに蛇足ではあるが、番組も300話台に入り、あまり劇中で聞かれなくなった音楽が何曲か使われているのが印象的に感じた。

特に、錯乱のあまり、おもちゃの拳銃を使って銀行強盗を試み、小銭だけ盗んで逃げようとしたことろを、桜井が捕まえたことに対し、「手柄を立てて気分がいいか」と桜井を取り巻く記者たち、それに船村が激高するシーン。

あの場面で流れていたのは、初期から前半期はよく使われていた、『特捜』を代表する音楽。その頃を思い出させるようなシチュエーションでもあった。

やや桜井や船村など登場人物が饒舌で、説明的なセリフが多いきらいはあるが、テーマ性や、株取引の場立ちが無くなることを“予言”している先見性、さらに映像の歴史的価値などを考えてみても、今後DVD化されても良いような回である。

そういえば、“桜井 VS 船村”というシチュエーションも過去にはあるが、『完全犯罪・ナイフの少女』の頃の桜井と比べると、随分マイルドになったなぁ桜井。まあ、あの頃が過剰にワイルドだっただけだろうけど。

特捜最前線 第368話 野鳥団地の女!

【脚本 藤井邦夫 監督 天野利彦】…

第364-367話は、見事に録画に失敗しましたので、次のファミ劇の連続放送を待ちたいいと思います。

さて、この回。またサブタイトルが変というか、内容と合ってないな。「野鳥を待つ女」とかだったらまだいいけど。何だ、野鳥団地って。

男女の機微を描いた話としてはまあまあなのかもしれないが、刑事ドラマとしては、ハッキリ言って物足りない回。

冒頭でルポライターが殺される。犯人は“タナカツネオ”という男らしいが、見つからない。

で、途中で唐突に、北島なる男が紅林の前に現れる。『特捜』を見慣れている人なら、まず間違いなく、この北島なる男がタナカツネオだと思うであろう。

後の展開で、それを裏切るのも良し、その通りなのも良し。ただし、その通りであるならば、同情する余地のある止むを得ない動機とか、同一人物だと分かる決定的な証拠が欲しい。

事実、駅の手荷物預かり所で、北島が残したと思われる“タナカツネオ”の服が出てきた時も、これでは決定的な証拠にはならないと言っていた。

ということは、ラストで、有無を言わさぬ決定的な証拠が、バーン!!と衝撃的に出てくるのか思ったが…、

出て来なかったね。

結局、北島とタナカツネオを結びつけたのは、紅林のおしゃべりと女の証言だけ。いくら視聴者にも分かっていることとはいえ、なにかこう、刑事ドラマとして面白いと思わせる展開が、もうひとつ欲しかったんですけどねえ。

あと、北島がルポライターを殺した理由が、結局のところ弱いのではないか。それに、事情はどうあれ、北島は二重生活という良い身分であることから、同情する余地もないし、共感するところもない。

まして、生きている時のルポライターが全く登場していないので、果たして殺さなければならないくらい、そいつがあくどい奴だったのかどうなのかも分からないので、話が浅く感じる。

北島の家族や死刑囚になった男のことも含め、その辺のところがもう少し深く描かれていれば良かったような気がする。

特捜最前線 第363話 獄中からのラブレター!

【脚本 峯尾基三 監督 村山新治】…

冒頭で女が殺される事件が起こるが、その犯人はあっさり捕まる。

そして、吉野が信じる三上という男と、女を殺した男は、共謀して4年前に銀行強盗をしていた。

その二人のうち、どちらが主犯でどちらが従犯か、それを解明するという流れで話は進められる。

『特捜』でも珍しい形の展開なので、その点は興味を持ったのだが、よくよく考えて見ると、三上はわざわざ捕まる必要があったのかいな?

金が欲しけりゃひとりでさっさと逃げりゃいいじゃん。

と、普通に私は思ってしまったのだが。

あと、冒頭の女の存在がかなり稀薄。もう少し本筋に関係あるのかと思ったが。

思うに、人物があって話を組み立てたのではなく、話の都合のために人物を仕立て上げた脚本という感じ。人物が、単なる話の“部品”になってる感があり、中身自体はそれほどでもない回だった。

ていうか、今考えたら、サブタイトルと内容が、かなりかけ離れてるなこりゃ。

確かに獄中から手紙は送ってたが、別にラブレターという中身ではなく、単なる現状報告っぽい。

あと、例えば手紙の中に謎を解く鍵がいくつもちりばめられてたりとか、実は欠けている手紙があって、それが重要アイテムだったとか、手紙を扱うなら扱うで、話を組み立てる上の手紙の使い方はいくらでもあったように思うんですがねぇ。

特捜最前線 第362話 疑惑2・女捜査官の追跡!

【脚本 長坂秀佳 監督 天野利彦】…

前回の続き。

今回も、宮内洋のアクションが炸裂する快作(違)。

後編で新たに明らかになったことは、ひとつは松原千明の父の真実。

仕事でシャブを舐め過ぎて歯がボロボロになって早死にした、とされていたが実は、

仕事を辞めた寂しさを紛らわすためにシャブに手を出した

独自に麻薬ルートを捜査し、川浦に行き着いたが、逆に川浦にシャブ漬けにされた

と、内容が変わっていく。

もうひとつは松原千明の兄の存在。その兄とは、なんと『ウルトラマン80』の長谷川初範。

とことん特最前線。

とはいえ、ストーリーそのものは、前後編にするほどのことはなかったように思う。うまく話をまとめられれば、完成度の高い1話完結回にも出来たような気がする。

ただ、麻薬モノでよくある暴力団やマフィアとかではなく、(限りなくそれに近いとはいえ)堅気の組織から一般人に麻薬が蔓延する恐ろしさに重点が置かれており、これこそがこの前後編のテーマだったように思える。

また、終盤の立てこもりシーンは、ただの銃撃戦ではなく、犬を随所に生かしたシーンとなっており、ただでさえ銃撃戦が珍しい『特捜』においても、さらに異色な映像が展開された。

とりあえず、この前後編で分かったこと。

やっぱり松原千明は可愛い。

あと、宮内洋が警察無線に入りんで要求を述べるとき、

無線装置スイッチ、オン!!

と言ってほしかった。

特捜最前線 第361話 疑惑 警察犬イカロスの誘拐!

【脚本 長坂秀佳 監督 天野利彦】…

7周年記念作品。

最後で犯人を逮捕すれば、このまま終わっても良いくらいの、1本ものとしての完成度だが、今回は2話続きの前編。

長坂氏には珍しく、麻薬を扱った話。

ただ、普通の薬ネタだと、組織対警察とか、組織内抗争とか、そっちのほうに重点が置かれる事が多いが、この話では麻薬そのものや麻薬捜査の方法、薬によって崩壊する家族などに重点が置かれているように思える。

特に、ドラマでよく見る「ペロッ」じゃなくて、試薬を使って覚醒剤かどうか見分ける場面や、麻薬犬の訓練の方法が詳しく紹介されるシーンなどは、なかなか興味深く、良かった。

さらには、ヤクザのかたぎの妻が、薬でボロボロになっていたり、そのヤクザが薬のルートの黒幕を知っていたりと、麻薬の恐ろしさを描きつつ、ヤクザ夫婦がちゃんと本筋に関わってくる展開も、さすがと思わせるものがある。

そしてなんといっても、犬が重要なファクターであり、それも1匹や2匹ではなく、大量に犬が登場するというのが、この前後編の大きな特徴である。撮影大変だっただろうなあ。

ただ、犬をシャブ漬けに、というあたりは、若干リアリティに欠けるきらいがなくはない。

実際にはあり得る話なのかもしれないが、発想があまりに斬新過ぎて、黒幕が言うように「犬がシャブ漬けなんかになりますか?」と、疑問に思った視聴者もいたかもしれない。

あと、話の始めのほうで、叶がイカロスに肉を差し入れに来たとき、「しかし前任者の方は…」というセリフがあった。

中盤、イカロスは麻薬犬としてはまだ未熟だということになったとき、もし誰かが訓練したら、という仮定が出てきた。

そのとき、叶が言っていた“前任者”が絡んでくるのかと思ったが、結局何もなかった。まあ、ただそれだけの話なんですが。

で、今回の黒幕だが、何といっても宮内洋。

あ、ダメだ、

宮内洋が画面に出てくるだけで、無意味に笑いがこみ上げる。

本来役者というのは、善人も悪者も、刑事も犯人も演じられなければならないのだが、この人の場合、主なものだけでも、

仮面ライダーV3
兼アオレンジャー
兼ズバット
兼ビッグワン
兼正木本部長
兼三浦参謀長

おまけに『Gメン75』にもレギュラー刑事で出ていたので、たまに悪者をやってると可笑しくてしょうがない。

しかも、普通「特捜最前線」に出てくる犯人というのは、何かバックボーンと言うか、同情できうる部分、止むに止まれぬ事情というのがあったりするのだが、今回は完全無欠の大悪人なので、そこもまた面白い。

とりあえず、この回で分かった事は、叶というか夏夕介は本当に犬好きなんだなあということと、松原千明が可愛いという事である。

では後編を待つ。