特捜最前線 #156-203

特捜最前線 第170話 ビーフシチューを売る刑事!

【脚本 塙 五郎 監督 天野利彦】…

特命捜査課を離れていた、船村刑事復帰の回。本来なら重要なエピソードのはずなのだが、
非常に評価の難しい作品である。

今回出てきた、久枝という女の心情は、はっきり言って理解に苦しむ。こんな人いるんだろうか実際、とまで思ってしまう。

もしかしたら、この久枝が、この事件の最大の被害者として描きたかったのかもしれないが、本当の被害者は、ダンナさんとその子供じゃん。

なんか、久枝は連行?されていったみたいだが(犯人隠匿?銃刀法違反?殺人未遂?)、ダンナさんの心には、「オレよりあんなオトコが本当は好きだったのか!?」という大きな傷が出来てしまっていると思われる。

こういってはなんだが、ダンナさんのほうが、どう考えてもまっとうな人間である。それなのに、そのダンナさんと子供をほっぽり出してまで、あのしょーもない野郎に、久枝はついていったのである。どういう判断基準を持ち合わせたら、その行動が正しいと判断できるのか?

その前に、野郎を殺そうとしたじゃんということもあろうが、そもそも野郎のところに行くことが問題であり、その後の行動も、変であることは明らかである。本当に、理解に苦しむ。何にしろ、この家族の今後が非常に心配である。

もっとも、この全ての原因をつくったのは叶だが。特に、久枝に銃を奪われたのはマヌケすぎる。

で、肝心のおやっさんの復活だが、この事件をきっかけに復帰というのは、非常に無理がないか?

せっかく、気力振り絞って現場に来たのにこんなことになったら、普通なら「やっぱり絶対刑事なんてやらない」と固く決心してもおかしくないのではないか。話的にも、こんな後味の悪い話では、せっかくのおやっさんの復帰も、何か喜ばしくなく思えてしまうぞ(番組的には喜ばしいはずだし)。

でも、初登場や復帰話をちゃんと作ってくれるだけでもいいのかな。紅林なんか、初登場のエピソードすらなかったし。

ていうか、あの溶け込みかたはむしろ異常。

ところで、自分の店に奥さんの名前をつけてたおやっさん。お客さんが、女性オーナーだと思って入って、おっさんが出てきたらがっかりするだろうなあ。

特捜最前線 第169話 地下鉄・連続殺人事件!

【脚本 長坂秀佳 監督 宮越 澄】…

人を信じたい、それなのに疑わなければいけない。地下鉄連続殺人事件に関わりを持つとされた女性・蛍子との出会いが、滝刑事・特命課退職へのプロローグだった。

バイクにはねられて死んだ娘の母親・蛍子と、父親の気持ちを知り、事件には関わりないと信じ込む滝。結果的には、その想いと滝のとった行動が、事件を拡大させる。あまつさえ、滝は何の関わりもない人物を逮捕しようとするという、刑事としては致命的なミスまで犯してしまう。

これら全ての要素が、滝退職までの流れをつくり、彼の心の動きを描ききってしまうという展開は実に見事である。

思い込みに走り、半狂乱にも見える滝を前に、怒りを通り越して凍りつく特命課。が、突然何かをひらめいた滝。そして、誰も気づかなかった、地下鉄路線に隠された謎を解き明かす。そのシーンが、滝の人間性と優秀さを同時に表現し、特命課がこの刑事を失うのは惜しいと視聴者に思わせるようで、大変印象深かった。

結局、滝は蛍子とラーメン屋を経営するために特命課を去る。刑事が降板する回は”殉職”が定番だが、安直な殉職劇ではなく、このような作品で、ある刑事の最後の回を描くところに、このドラマの奥深さを感じるのだった。

特捜最前線 第165話 隣にいた絞殺魔!

【脚本 本田英郎 監督 天野利彦】…

桜井の兄の弁護士役で、岸田森が登場。 それだけで見る価値十分。

話自体も、桜井のアウトローぶりが堪能できて面白い。水筒に酒を入れて持っていた桜井の兄だが、その「酒」が見事に後々の展開に繋がっていることや、金の隠し場所かまさか…という点で、よくできている回だ。

岸田氏はこのあと「太陽戦隊サンバルカン」で、嵐山長官役をやっている。

「君たちは、バル強化服を着て、サンバルカンになるのだ!」

なぜかちょっとコワい…

特捜最前線 第164話 再会・容疑者は刑事の妹!

【脚本 阿井文瓶 監督 青木弘司】…

連続もので、下手にかつてのキャラ、もしくはその周辺の人物を題材にした場合、えてして「?」という話になってしまいがちに思う(私論)。特に今回は、あの『殉職編』のライターとは違うライターが書いてるわけで、その辺は非常に危惧された。以前、「神代夏子と重なる女」として描かれたキャラが、はっきりいってそれほどの力を持ったキャラとして描かれなかったことがあるからだ(これも私論)。

この回に関して言えば、犯人探しというよりもどちらかというと兄の死後かたくなになっていた津上トモ子と、親友でありおそらく特命課の中では一番目線が近かったであろう吉野刑事との心の交流を中心に描かれている分、いい作品になっていた。

特捜最前線 第160話・第161話 バリコン爆弾編

第160話 復讐Ⅰ・悪魔がくれたバリコン爆弾! 第161話 復讐Ⅱ・5億円が舞い…

「犯人の言葉は信じられなくても、私の言葉は信じてくれ」

まさに特捜、まさに大傑作である。

一歩間違えば、夜10時台どころか、夜7時台の番組であっても荒唐無稽で説得力のない展開になってしまう危険性を多分にはらんだ題材であったにもかかわらず、ストーリーの面白さ、緊迫感を増す演出、そして自力で爆弾を止めようとする二谷英明さんの熱演が、この前後編を傑作たらしめているのである。

前編では、バリコン爆弾によって窮地に追い込まれた神代とカンコ、また全く事情を知らない特命課刑事たちを、後半では、今回の事件の背景にある出来事を描き出し、視聴者の興味を切ることなく、前後編にふさわしいスケールの作品となっている。

エンターテイメントとして見ごたえ十分なのはもちろんだが、その中で、神代と刑事たちの絆、責任をなすりつけあう人間の醜さ、そして、犯人もまた実は被害者であるという、深いテーマまで提起しているところは唸るほかはないのである。

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復讐編おまけ 疑問その1 なんで最上階なんだ?

特命捜査課とはもちろん架空の組織である。警視庁の組織であるが、もしも、特命課が普通に警視庁の建物にあったら、きっとつまらなかっただろう。特命捜査課が、架空の組織であるにもかかわらず、妙なリアリズムをファンに感じさせるのは、きっと、警視庁ではない、実在する建物の中に 本部を置いていたことに起因するのではないか。

特命捜査課は、東京にある「東邦生命ビル」の最上階にあるということである。特命課の特性上(神代課長いわく「我々は他がやらないことをする。そしていまひとつ、他がやれないことをする。そうでなければ特命捜査課の意味がない」-第40話『初指令・北北東へ急行せよ!』)、警視庁内ではなく、その外に活動拠点が置かれている、という設定であった。
そのため、我々ファンは「このビルに特命課があったんだ」と愛着を覚える。おそらく、警視庁内にあったら、これほどの愛着はもたれなかったであろう。警視庁の組織が警視庁内にある。やはりドラマとしてはつまらない。

だが、この「復讐編」ではそれが仇になった形である。特命課は犯人に、ビル内の人全員を人質にとられた格好なのである。特命捜査課最大のピンチ!
ところで、先にも書いたが、特命捜査課はビルの最上階にある。で、このビル、何階建てかというと、33階建てであるという。おおっ!東京にそびえ立つ高層ビルの最上階にオフィス!あこがれるではないか! …ん?ちょっとまてよ。確かに民間企業ならステータスもあろうが、特命捜査課の仕事は、犯罪の捜査や犯人の逮捕である。

最上階で本当にいいのか?

疑問その2 不便きわまりない!

だいたい、33階というのは、いくら何でも高すぎる。
どんなに迅速に報告したいと思っても、エレベーターでゆうに2,3分はかかるはずだ。まさか、エンパイアステートビル早登り大会のように、全ての体力を報告で使うわけにはいかない。どんなにがんばっても、エレベーターの速度以上の速さで移動できないのだ。

課長の一大事とさとった特命課刑事たち。きっと、エレベーター内で走る真似をして高ぶる気持ちを抑えていたに違いない。またその逆、出動に至ってはもっと事態は深刻である。「ちょっと聞き込み行ってきまーす」くらいならいいが、一分一秒を争って出動しなければ行けない事態はしばしばのはず。しかしやはり、どんなに急いでもエレベーター以上のスピードは出ない。おそらく駐車場は地下であろう。まさか「自由落下の法則!」とか言ってビルから地上に飛び降りるわけにも行かない。きっとまた刑事は箱の中で駆け足だ。いやそれより、エレベーター自体がトラブルで動かなくなることもあり得る。そうなると何とも動きようがなくなり、一巻の終わりである。

このように、最上階では不便なことが多すぎる。迅速な捜査と出動を旨とするなら、せめて10階以下にしていただきたい。がしかし、何階にあるかとかそういうこと以前に、特命捜査課にはもっと重大な欠陥があるのだ。

疑問その3 めっちゃ無防備やん!

 カンコ「あー!あたしお昼おごる約束してたんです!」
 神代「誰とだ?」
 カンコ「いつもノックもしないで入ってくるあのコです!」

という会話が劇中であった。つまり、特命捜査課とは、そこらへんの民間人がノックもしないで入れる場所なのだ。警視庁や警察署内にある部署なら当然建物自体に警備がいようが、普通のビルに入っている以上、ビルの入り口で入る人間をひとりひとりチェックするわけにはいかない。
となると、入り放題である。

さらに致命的なことがある。他の刑事ものを見ても、たいていその部署で一番えらい人間のデスクは、入り口から遠い場所にある。これはいわゆる「上座」であり、当然といえば当然である。しかし、日本の常識は、特命捜査課においてはここでも通じない。なぜなら、ドアを開けて真っ先に飛び込んでくるのが何あろう課長の机だからだ。これは、部下が課長に詳細を報告する際にはすこぶる便利であろうが、侵入者があった場合、真っ先に逝ってしまうのが課長ということになりかねない。課長の身を大事に思うなら、せめてお茶のあった場所に課長のデスクを移動されたい。

とどめに、特命課のドアは、もうこれ以上無い「This is door」である。医者の不養生ではないが、自分たちが刑事であるからだろうか、セキュリティに対する意識が完全に欠如している。せめて鉄のドアか、暗号とか声紋とかがないと開けることのできないドアにでもしていただきたい。

疑問その4 苦情は来ないのか?

特命捜査課という、警視庁の一部署が、たまたま民間のビルに入っていたために、そこに勤めていた人々は多大なる迷惑を被った。こうなると当然、「このビルから特命課出て行け運動」が起こることは十分考えられる。もしかして、この事態がおこるまで、ビル内に警視庁特命課があるとは知らされていなかったのでは…と思ったが、いろいろなエピソードを見て想像する限り、大して秘密にされていなかったわけではないらしい。むしろ周知の事実だった可能性の方が高い。もしかして、警察の部署があるから「守ってくれてるーvv」等と考えていたのだろうか。むしろ現実は狙われ放題なのだが。

まあ、結局最終回まで特命捜査課として使われたところをみると、大した問題にはならなかったのだろう。平和な国である。
ただ、ひとつの心配は、カンコと原日出子の関係が崩壊していないかということである。今度こそ本当に、お詫びにおごってあげてください。

【この回はこのDVDに収録されています】

特捜最前線 BEST BOX2