特警ウインスペクター 第1話 赤ちゃん暴走!


■脚本 杉村 升

■監督 東條昭平

■あらすじ

月面作業用ロボット・R24が、黒田博士のさしがねで高沢博士の孫・ゆりちゃん(生後10ヶ月)をさらい、タンクローリーを奪って、街を暴走!

タンクローリーは、高沢博士の研究所に突っ込み、高沢博士の大切なもの全てをふっ飛ばすつもりなのだ。

ファイヤー・ウォルター・バイクル、特警ウインスペクターの出動だ!

■ヒトコト

特警ウインスペクターとは、平和を愛し、友情を信じ、人の命を守るため犯罪に立ち向かう、警視庁・特別救急捜査隊のことである!

『機動刑事ジバン』の後番組である本作は、東映特撮作品では必ずと言っていいほど登場する“悪の組織”や“怪人”というものを排除し、通常の人間が起こす犯罪や災害から人々を救うというストーリー。

言うならば“刑事物のような特撮物”ではなく、“特撮物の要素が入った刑事物”という性格が強い作品です。

通常の刑事ドラマ色の強い作品でありながら、その中でも、特撮番組特有の映像や、ヒーローアクションを見せていこうという、かなりの意欲作でもあります。

となると、重要なのは脚本です。メインは前作から引き続き杉村升さんが担当しますが、ざっとライター陣の顔ぶれを見てみると、

『太陽にほえろ!』の 杉村升さん

『Gメン’75』の 高久進さん

『特捜最前線』の 藤井邦夫さん

『特捜最前線』『西部警察』の 宮下隼一さん

と、一般の刑事ドラマを多数書いた経験があり、かつ特撮作品も担当したことがある顔ぶれです。

これに加えて『超人機メタルダー』第11話でデビュー後、独自の世界観を持った秀作を特撮作品に送り続ける扇澤延男さんもいます。

これだけのライター陣が、よってたかって脚本を書いているのだから、面白くない訳がありません。
事実、本作は、1年後に続編「ソルブレイン」が制作されるほどの人気作になりました。

あと、この作品で特徴的なのが“選曲”。

『ジバン』での旧作大量流用が問題になったのもつかの間、またしても同じような事態が起きました。

ウインスペクターの音楽は、横山菁児さんが担当しましたが、同じ横山さん作曲の『超人機メタルダー』の音楽が、これまた大量流用。

まさか、はじめからそれを前提に作曲していたとも思えないのですが、結果的には、ウインスペクターの劇中で使われる音楽は“ほぼメタルダー”という事態になりました。

ただ、それによって『メタルダー』では数回しか使用されなかった音楽(メタルダーの選曲を担当した村田好次さんは、同じ曲を1回の中で何回も使うという特徴があるので、その点からも、数回しか使われていない曲というのは意外にあったりする)が、『ウインスペクター』で多用され、良い効果を挙げたという例もあります。

典型的なのは、メタルダーの2枚組サントラののDISC1に収録された、トラック41の曲。

『メタルダー』では、ビッグウェインの回で

ゴチャック「軍団長、奴は向こうの谷を越えたものと思われます」
バルスキー「何?」
ジャース「何を言うか!ゴチャック、貴様の裏切りは見たぞ!」
バルスキー「ビッグウェインに通じたな!」
ゴチャック「は…そんなことは…」

という1連のシーンで使われた“バーバーーー”という曲。

『メタルダー』では、あとはジャック編前編で、八荒が負傷したまま終わるラスト、シリーズ終盤で仰木舞ちゃんの父が、タグスキーのヨロイを着せられる場面くらいでしか使われていない曲です。

しかし、『ウインスペクター』では、初期から使用され、その後も“危機”や“緊張”を表現する音楽として多用され、番組世界を形作る重要な曲になりました。

そういう意味では、『メタルダー』では陽の目を見なかった音楽が生き返ったわけで、功罪で言うと旧作流用の“功”の部分が出た例です。

さてこの回、新機軸の第1話ということで、撮影にも相当力が入っており、他の映画のセットを、わざわざこの撮影のために残しておいという、大掛かりなタンクローリー暴走シーン、派手なパトカーの激突・大破・炎上シーン、そしてファイヤー対タンクローリーの「戦い」など、スタッフの「新しい特撮ものを作るんだ!」という、並々ならぬ意欲が、画面から伝わってきます。

この回、黒田博士役で、言わずと知れたウルトラマン・ハヤタ隊員役の黒部進さんが出演。

ロボット・R24を演じるのは、「警視庁殺人課」などでも知られる、関根大学さん。

二人とも、まさかシリーズラストで、同じ役で再登場することになろうとは…。

■ミドコロ

▽「誘拐された赤ちゃんは未だ発見されておらず…」という、警察無線。

よく聞くと、何気に篠田薫さんの声です。

▽赤ちゃんを連れてタンクローリーに乗る、ロボットR24。

すると、

“でごでごでごでごでごでごでごでご
でげでん でげでん でげでん でげでん でででーーーん”

と、本編開始から2分6分にして、早々に流れる『超人機メタルダー』の音楽。

▽「男はタンクローリーを奪って逃走、国道1号線を都内に向かって逃走中!」

小山良太はスケボーで警視庁の廊下をWSP本部に向かって爆走中!

ちなみに、このアナウンスの声、どうもウォルターの声の平井誠一さんくさいです。

▽倉庫の貨物やパトカーを蹴散らしながら暴走するタンクローリー。

そもそも『ウインスペクター』が企画された経緯には、毎回怪人の着ぐるみを作る予算がなかったから、ということがあったそうですが、この映像を見ていると、明らかに着ぐるみ一体作った方が安く上がるような気がしなくもないです。

▽「おじさーん、赤ちゃんが誘拐されたって本当なの?」という、小山良太。

本部長に向かってオジサンとは何事ですか。失礼極まりないガキです。

あと、こんなガキを普通にウロチョロさせて大丈夫なのでしょうか、特別救急捜査隊。

▽後の特装救急警察時代に比べれば、ずいぶん落ちついて見える、正木本部長の服。

もちろん、左の肩章に差した手袋が、オシャレのポイントです。

でも、モミアゲが揃い過ぎて逆に変。

▽「今回の事件は、シュミレーションA235に酷似しています。その回答例に従えば、うまくいくと思います」という、ウォルター。

シュミレーション通りにいかないのが、世の中というものですよ。

▽「小山良太」ですら紹介テロップが出たというのに、レギュラーでウインスペクターのメンバーなのに、テロップの表示がない野々山くん…。

▽コーヒーチャコを経営するフリをして、実はウインスペクター秘密捜査官の、小山久子さん。

どうやら警視庁には、良太を出前で派遣しているようです。人件費はかかりませんが、あんなガキに任せて大丈夫なのでしょうか。

ていうか、食堂くらいありませんか、警視庁。

▽バッチリWSPネーム入りのウインスコードで、堂々と妹さんに会いにきている、ウインスペクターの隊長・香川竜馬。

さすが、若くして警視正なだけのことはあります。

あと、花畑とウイルスコードのアンバランスさが素敵。

▽赤い〜赤い〜赤い〜あいつ〜レッドマ〜〜ン、な上着の竜馬隊長。

▽人の心が豊かじゃないのは、この世界の1999年も、現実の2011年も同じです。

▽ウォルターに掴まれて空中移動するバイクル。運んでもらっている分際で、「ウォルター、落とさんでちょーよ、わしゃ高所恐怖症やてね」という、バイクル。

だったら自力で走ってください。

▽現場に駆けつける本部長に対し、「この事件は、我々捜査一課と機動隊だけで十分だと思いますがね」という、六角虎五郎警部。

どうやら、ウインスペクターに対して対抗心を持っているようです。

というより、もしかしたら、若造のくせに警視正の香川竜馬に対するやっかみのほうが強いのかもしれません。だとしたら、それも当然と言えば当然ですが。

▽車の屋根に乗っているウォルターとバイクルに「こら、お前ら、どこに乗ってるんだ!」という六角警部。

それに対し「高い所がよく見えるがね!」というバイクル。

さっき、高所恐怖症とかぬかしてやがったのは、どこの名古屋人ですか。

▽迫ってくるタンクローリー。発砲しろと言う六角警部に対し、絶対に発砲するなと言う本部長。刑事ドラマでは、いわば定番の対立。

▽タンクローリーはパトカー(と六角警部)を蹴散らし、パトカーは爆発・炎上。

やっぱり、着ぐるみ一体作った方が、明らかに安上がりだったのような。

▽タンクローリーにしがみつくも、ガソリンスタンドで振り落とされるバイクル。

すると、自動洗車機に巻き込まれ、バイクルは、とってもキレイになって生還。

しかも、合成と効果音つき。

後日、ウインスペクター本部に、「洗バイクル代」の請求書が郵送されるものと思われます。

▽さらに、ミ●タードーナツの店舗やら、車やらを蹴散らしながら暴走するタンクローリー。

どう考えても、着ぐるみ一体作った方が安くつきました。

▽タンクローリーに振り落とされたウォルター。すると、女の子が近づいてきて「ウォルター、大丈夫?かんばって」と言いながら、ウォルターのゴーグルにキスをします。どうやらウォルターは、ここいらではちょいと有名なようです。

もちろん、優しいウォルターは、「このガキ、ツバでゴーグルが汚れて前が見えにくいじゃねえか」とか決して言いません。

▽「貴様の大切にしている孫と研究所を葬り、地獄の苦しみを味あわせてやる」という、黒田博士。

とても、カップラーメンを味わいながら言うセリフとは思えません。

ていうか、フォークでカップラーメン食う人って、久々に見ました。

▽タンクローリーを研究所に入れまいと、どっかの工場に誘導するバイクルとウォルター。

しかし、その作戦が(当然のように)裏目に出て、タンクローリーは工場内を暴走。工場のあちこちで爆発が起こり、火の手が上がります。

それを眼前に、「ふたりは残って工場の人たちを救出しろ」と、さも他人事のように言う隊長。

元はと言えばアンタらのせいです。

▽自分たちの不始末に自分たちでカタをつけるべく、救助活動をする、バイクルとウォルター。

“工場内禁煙”の文字が、何だかとっても空しいです。

▽黒田博士の潜伏場所を発見した純子さん。

まあ、潜伏場所っていうか、堂々と表札出てますけどね。

▽「あと少しで、孫も高沢の研究所も木っ端微塵だ!」という、黒田博士。

それはいいですが、いつまでラーメン食ってますか。

▽そこへ、「警視庁特別救急捜査隊ウインスペクターです!」と現れる純子さん。

「ケイシチョウ」の発音アクセントが、妙でが、まあ可愛いので許します。

▽その純子さんに、「わしゃ何も知らん!!」という黒田博士。

なら、なぜイスを投げる?

■まさに怪人との戦い以上のアクションを、第1話から見せてくれるファイヤー。

■煙と炎の中から、赤ちゃんを抱きかかえて戻ってくるファイヤー。

「ウインスペクターとは、こういう番組だ!」という意気込みを、象徴的に表現したシーンです。

▽「抹殺、抹殺」と言いながら自爆するR24。声が何気にマドックス。

▽任務を終えてヘルメットを脱ぐ、香川竜馬の、名物「周囲はとってもハタ迷惑な隊長の必殺“汗飛ばし”」

▽ラストの曲も、思いっきり「メタルダー」の流用。まだ第1話なのに…。

▽もし本当にあったら一度聞いてみたい「標準語はこう話せ!」

▽エンディングのラストカットで、ジャンプのタイミングが一人だけずれて、みんながジャンプしている時に、既に着地しちゃっている純子さん。

まあ、可愛いので許す。

▽いきなり、爆発の効果音で始まる予告編。

■超人機メタルダー楽曲 流用カウンター

本編使用 25曲中 8曲

流用率32%(あさみや紫苑調べ)

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