特捜最前線 第460話 挑戦II・窓際警視に捧げる挽歌!


【脚本 長坂秀佳 監督 天野利彦】

もし、沢口が漢字の書き順を間違って覚えていたら、謎は深まったということか。

◆   ◆   ◆

“犯人当て”の解決編。

この前後編は、早々に「DVD Vol.1」に収録されて、解決編をご存知の方も多いとは思うが、いちおうネタバレを避けるという意味で、そこに言及するまで、多少行数を使うことにする。

というわけで、まずは蒲生警視について。

これは、すでにサブタイトルで分かる内容なので書いてしまうが、これは蒲生の“殉職編”でもある。

もちろん、蒲生は純粋なレギュラー刑事ではないが、前回、正式に「特命課配属」になっているので、正確には津上・吉野についで、特命課“3人目”の殉職者となる。

個人的には、ひとりのキャラクターの幕引きが“殉職”というのは、あまり好きではない。

しかし、今回においては、(そのドラマの熱烈なファンの方には悪いが)某有名刑事ドラマのように、“無意味に撃たれて死ぬ”というようなものではなく、その殉職に、大きな意味があり、殉職自体が話のラストではなく、さらなる見所となるラストへ繋がる役目をもっていて、それは大変に評価できる。

そのシーン、冬木心子を殺した犯人を目の前にして、それが撃てない蒲生、そして「すべては自分のせいなのだ」と、死ぬ覚悟を決めるまでの蒲生の心情を描いたシーンは、1カットで撮影され、長門勇之氏の名演とあいまって、特捜史上にも残る、名シーンとなっている。

また、この前後編、蒲生といちばん絡んでいたのが、特命課に来て日の浅い犬養であったことも興味深い。

死んだ蒲生を前にして、いちばん悲しみをあらわにしたのも犬養であり、「あれは形を変えた自殺だ!」と、悲しむが故に蒲生を批難する姿などは、印象深い。

そして、津上の殉職編でもそうであったように、普段冷静な神代課長が、常軌を逸する(大槍をブン殴る)行動をとるのも、課長の深い悲しみ(=視聴者の怒りでもある)を、よく表現していた。

解決編以降、“犯人”の告白の中、それぞれが蒲生の死を悼み、悲しみを噛み締める一連のシーンも、圧巻であった。

もっとも、蒲生を殉職させるというは、はじめから決まっていたことではなく、むしろ、落ちてきた視聴率の回復を図るための“苦肉の策”ではあったのだが…。

…で、冬木心子、そして沢口を撃った人物は誰か。

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沢口のダイイングメッセージは、確かに数字の「4」に見える。

しかし、蒲生・桜井・橘は、それぞれ別々に、そのメッセージの謎を解いていた。

ヤクザの沢口が撃たれて、その撃った相手を示すメッセージを残すほどの相手。それは、よほど意外な人物か、そして撃たれたことがよほど悔しかったからだという。

結論…沢口は、本当は、こう書きたかったのである。

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「女」である。沢口は女に撃たれたのだ。

そして、この事件に関わった女は、ふたり。ひとりは西岡さくらだが、事件当時は明らかなアリバイがある。

そうなると、残ったのは、市原みえ子。彼女が“犯人”だったのだ。

この“犯人当てクイズ”では、犯人と同時に、明確な理由を書かなければならないそうなので、回答を書くとしたら、

犯人:市原みえ子

理由:メッセージが「女」と書く途中であることと。

みえ子が心子を殺した動機は、心子に父親が見つかったと知ったから。

父親の愛情を独り占めにした心子に対し、もともとみえ子は憎しみを抱いていたが、「心子には父がいない」と聞かされていたので、まだガマンできた。

しかし、心子に父親がみつかったと知ったので、とうとう憎しみを抑えきれなくなった。

沢口を殺した理由は、沢口に心子殺しを見られたため。

…という具合で良いですか?

ただ、解決編を見ずに、これだけのことが推理できたかどうかは分からないが…。「挑戦」は、まさに長坂秀佳氏からの、視聴者に対する「挑戦」だった訳ですな。

で、みえ子の動機自体も、流れとして十分納得できるものであったので、それもまた良かったと思う。確かに、ワタシにも一生許すつもりのない奴らが、何人もいますからなぁ。

あと、解決編で課長が取り調べ室のマジックミラーに、口紅で文字を書いて謎解きをしてみせるのだが、ちゃんと特命課の部屋に向かってちゃんと読めるように示していた。

もし、「取り調べ室側」に向かって、つまり、大半の人間からは逆さに見えるように、うっかり課長が書いてしまっていたら、その場にいた人間は全員「課長、逆だよ…」と、心の中でツッコんでいたのだろうか。

それはともかく、10年目のはじめにして、名キャラクター・蒲生を失った「特捜」。いよいよ、特捜は、最終章に向けて加速していくのである。

ちなみに、前述のように、この前後編はすでにソフト化されているが、粒子感が少ない分、DVDよりも、放送当時マスターを使っていると思われる、ファミリー劇場での放送のほうが、映像の状態は良好であった。

…ここからは完全にネタ。

ふと考えたのだが、もし沢口が「女」という漢字の書き順を間違って覚えていたら、どうなっていたのだろうか。

周知の通り「女」という字は、ひらがなの「く」の字に見える部分を先に書く。

ただ、世の中には漢字の書き順なんて、てんで無頓着な人がいるので、もしそういう人物だと、“横棒”を先に書いてしまう可能性もある。

もし、沢口がそうだった場合、こうなる。

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もう、なんだか訳が分かりません。

しかも、こう書いてしまった場合、力尽きるのが早ければ、最後の「ノ」を書くべき位置に手がいかず、「く」を書いた場所、すなわち、字の下のほうに手が残っている場合がある。

今回の推理は、“手の位置”が謎を解く重要な鍵だったわけで、もし「女」と書くつもりでも、書き順が違っていると、謎は深まっていた…?

まあ、ただの想像ですけどね。

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