特捜最前線 第435話 特命課・吉野刑事の殉職!


【脚本 竹山 洋 監督 三ツ村鐵治】

「お骨を拾ってるとき、ちょっと気が遠くなりかけました。あまりにも軽いんで…。

◆   ◆   ◆

いわば、先週の話を受ける形での“吉野刑事殉職編”。

聞くところによると、この回は、吉野刑事役の誠直也氏自身が、竹山洋氏に脚本を書いてもらうことを希望したと言われている。

確かに、過去の作品を調べてみると、竹山脚本では、吉野主役率がわりと高く、また他の脚本家の話に比べ“カッコよく優秀な吉野”という色合いが強いように思う。

その辺があっての希望だったかどうかは定かではないが、とにかく、水曜夜10時枠で放送される、最後の特捜最前線として、吉野の殉職が描かれた。

話としては、警官の拳銃を奪った青年を、必死で説得して自首させようとする吉野、その吉野の説得は青年に伝わったものの、青年が逃げ込んだバー店員のの無駄な行動によって、青年の持っていた拳銃が発射され、弾丸が運悪く吉野を貫き、吉野は死亡するというもの。

殉職回というのは“結末がはじめから分かっている話”であるだけに、作劇も難しいのだが、殉職という要素以外の“何か”があった「津上殉職編」と比べると、どうしても“死んで終わり”という印象をぬぐえない。

この第435話は、8年半レギュラーを務めた吉野が降板するという意味で“重要な話”である事は間違いないのだが、それは必ずしも“傑作であること”を意味するものではない。

よって、私の個人的な感想としては、この回自体を傑作と呼ぶには、もうひとつ何かが足りないように思え、それがまた残念でもある。

とはいえ、課長の前述したセリフや「一番手のかかる息子でした」という言葉、

「あんな無骨な顔しやがって、何かってば女に惚れて、花を贈って…あいつは死んじまったのに、花だけはこんなに綺麗に咲いてやがる。毎日こんな綺麗な花、見ていられるか…」

と、鉢植えを壊す橘、特命課にあって、いかに吉野が同僚から愛されていたかを表す演出は、見るものの涙を誘うに十分すぎるものであった。

こうして、第1話から番組を支えた船村・吉野両刑事の降板によって、特捜最前線の“黄金期”は終焉。

次回の2時間スペシャルは、残り1年半となる番組の、いわば“終わりの始まり”となるものであった。

ちなみに、ではあるが、津上・吉野の両刑事が殉職したのは、いずれもおやじさんの不在時。

同僚の刑事を失ったとき、あのおやじさんは、果たしてどんな反応を見せたのか…。それにはちょっと興味があるのだが。

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