特捜最前線 第427話 複数誘拐・子供たちは何処に!


【脚本 広井由美子 監督 辻 理】

「テレビのチェンジマンのある日ね?」

って言った女の子が一番可愛かったな。

◆   ◆   ◆

それはいいのだが、何というか、惜しいなぁ、この話。違う言い方をすると、作りが甘い。

5人もの子供が一度に姿を消すという事件が起こり、その親たちが一同に集まって、特命課と共に子供の行方を追うという話。

アイディアとしては非常に面白い。が、アイディアが良すぎるだけに、脚本家の腕が悪いと、ただネタ振りをしただけで、話としてアイディアが結実しない恐れもある。

今回に関しては、結局そのアイディアを、この脚本家の技量では手に負えなくなり、それを生かしきれずに終わったといった感じ。

いや、一般的に見れば、十分水準の高いドラマであると評価される話ではあるが、おそらく、目の肥えた多くの特捜ファンにとっては、不満の残る出来ではなかったか。

とりあえず、“殺人の起こらない話”である点は私も評価したいのだが、共謀した子供たちの親の意外な共通点とか、その辺の構成が不十分だし、子供がいなくなったという事態に対して、あまり親の危機感も感じられない。したがって、同情する気もあまり起こらない。

まあ、無責任な親たちのエゴとかを描きたかったのだろうが、なんせ親が4組いて、誰がどんな境遇の親かというのを把握するだけで精一杯のため、それぞれの印象が散漫になって、それを視聴者に訴えかけられないまま、話だけが進んでいくといった感じ。

それに、子供たちがいる場所を推理するところにおいても、ひとりの母親の“単なる思いつき”で片づけられてしまっており、これまでの展開が、場所の特定に全く生きていなてのも、この話のマイナスポイントである。

事件と複数の人間の関わりを話の主眼にした話で私が思いつくのは、長坂脚本の『ジングルベルと銃声の街』『フォーク連続殺人の謎』、佐藤五月脚本の『住宅街の殺人ゲーム』などがあるが、この二人のどちらかが、『複数誘拐』アイディアで脚本を書いてくれたら、もっと面白いものになったと思うのだが…。

だいたい、“子供が、大切なものを親に思い出させた”なんて、説教じみたことは要らんのでは。

むしろ子供たちが最後まで反省したりせず、ただ単に“誘拐ゲーム”を楽しんでいただけ、という結末の方が、よりテーマが重くなって良かったのではないか。

また、「ソルブレイン」の名作『わしら純情放火団』のように、子供たちのバックに黒幕がいて、ある目的のために子供たちを隠れ蓑にする“背景の二重構造”という描き方も出来たのではないか。1時間ものなら、そこまで描き込めるはずだし。

いずれにしても、面白くなる要素が多分にありながら、結局平凡な話に終わってしまった、非常に惜しい回であった。

そして、やっぱり吉野がいない…。

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