特捜最前線 第367話 六本木ラストダンス!


【脚本 佐藤五月 監督 辻 理】

ラジオカセットの「ない」殺人風景?

◆   ◆   ◆

「川奈トモコは、ちょっと人目を引くヤジ馬に過ぎなかった」って…、引くか?

それはともかく、佐藤脚本にしては、イマイチな回。

いちばん納得がいかないのは、指輪の件。

確かに、現場に落ちていた石と、石の外れた指輪を持っていた川奈ではあるが、それは、ただ単に「殺人現場にいた」ことを証明するだけであり、殺しをした、もしくは殺しの行われた時にそこにいた証拠にはならないのではないか。

つまり、特命課に引っ張られた時点では「殺し」の決定的な証拠はない。いつもの特命課なら、“殺しの証拠”を携えなければ、同行を求めるまでもいかないはず。そういう意味では、特命課にも、脚本にも不備が多い。

佐藤脚本のことだから、何か決定的な証拠がバーンと出てくるのかと思ったが…。

被害者が持っていたというカセットデッキ(デンスケ?)にしても、最後の方で申し訳のように出てくるだけで、ストーリー全体の全体の重要な要素になり得ていないし、被害者が、どれだけデッキを愛用していたかも描かれていない。

よって、たとえ事件当時の会話が録音されたテープが物的証拠だとしても、なぜそんな時にテープを回していたのか、取ってつけたような状況で、説得力に欠ける。

あと、何にしろ、そのテープが出てくるまでは、川奈は殺しは否認するのが普通ではないかと思うのだが。それに、どうせテープが出てくるのなら、テープが出てきてから自供する方が良い。それなのに、なぜはじめからあっさり殺しを自供する展開にしたのか、よく分からない。

それとともに、どうも気になるというか気に入らないのが、死んだ男が自殺しようとした動機。

ディスコの社長に父親がカネを渡して、それで自分がミキサー職に就くことができたと知って、絶望して自殺しようとしたのだと言うが、何を甘っちょろいことを言うとるか、コイツは。

カネで買った職だろうがなんだろうが、自分のやりたいことができるんなら、それでいいじゃねえか、という感想しか、正直ワタシには出て来ない。

なので、男に同情して、自殺を手伝ってやろうという川奈の行動も、当然意味不明。あまつさえ、自分も身投げして自殺するなど、ハッキリ言って愚の骨頂。

まぁ、カネで職や役を得る事自体をどう思うかで、彼女らの行動に対する見方や評価は、確かに分かれるだろう。にしても、情に訴え過ぎと言うか「最後に死ねば悲しい話になるだろう」というような、安直さが見えて、あまり良い話とは思えない。

それはそれしとても、ストーリー上(捜査上)の不備は明らかなわけで、その点だけにおいても、残念ながら出来の良くない話、というのが、ワタシの感想である。

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