特捜最前線 第358話 単身赴任殺人事件!


【脚本 佐藤五月 監督 藤井邦夫】

2月2日、飛鳥五郎という男を殺したのは貴様か!?

◆   ◆   ◆

いやー、やってくれますな、佐藤五月脚本。

単身赴任で大阪から東京に出張して来たサラリーマンが、家庭恋しさに、料理屋の女将と親しくなったが、女将は殺される。

すでに男と女の関係であったサラリーマンは、当然容疑をかけられるが…という、まあ良くあるといえば良くあるパターンの話。

女将の旦那や、その愛人が“怪しい”行動をとっていたことが発覚していくとはいえ、おそらく、前半に何食わぬ顔で出てきた同僚サラリーマンが、真犯人であることは大方予想がついた。

結局、嫌疑をかけられたサラリーマンは釈放となり、やれやれめでたしめでたしで終わるかと思いきや、本当の“修羅場”は、ラストに潜んでいたという、佐藤脚本らしい展開(こんな話、前にもどっかであったような気がするのだが、記憶が飛んでいて思い出せない…別の人の脚本回だったかも定かではない…)

もっとも、このラストが控えているなら、新幹線に乗った竹田を見送るときの、紅林のナレーションは、むしろ無かった方が、より衝撃度が上がって良かったのでは…。

ともかく、終わってみれば、最大の“悪人”は、実は竹田の奥さんだったという、なんとも皮肉で哀しい結末。竹田は、これからどうするのであろうか。

取調中、同じ“一人で暮らしている男”として、竹田を批難する紅林。しかし、竹田の言う通り、確かに同じ“ひとり”でも、結婚してない状態と、一度家庭の温かさを味わって、そこを離れてひとりで暮らす状態というのは、違いはあろう。

結婚もせずにひとりなら、いわば「冷水」に浸かっていることが“普通の状態”であるのに対し、一度でも家庭という「ぬるま湯」の暖かさを知ってしまえば、再び冷水に戻ることは、容易ではあるまい。

しかし、それを踏まえた上で書くが、竹田を「甘いんだよ」とか「エゴイストだよ」とこっぴどく批難した紅林に、私は賛成である。

ワタシの周りにも、よく彼女やら妻やらとの“困ったこと”を「大変だ」と吹聴するのがいるが、ワタシにしてみれば、ただ単に耳障りな雑音でしかない。なんだ、それはつまり“彼女自慢”なのかとしか、ワタシには思えない。そんな奴には「何、甘っちょろいこと言ってんだよ、そういう風に言える相手がいることが、独り身のワタシから見れば、どれだけ幸せで贅沢なことか、テメエには分かってないだろ」と言ってやりたいのである。

ま、それはともかく、単なる大阪弁の下手なだけのキャラクターと思われた竹田の奥さんが、最後の最後でこういうことになろうとは。

あの出番だけだったら、むしろ不要なキャラクターでさえあっただけに、なおさら衝撃的。これでもし、実は殺しの“黒幕”まであの奥さんだったとしたら…2時間ものになりますな。

この回、竹田役として小林稔治氏が出演。この頃にはもう“大物”格扱いに近くなっているようだが、私の個人的印象としては、特捜では「Gメン・波止場に消ゆ」や「追跡」編など、変な役や小物犯人というのが多かったように思うので、まるで小林氏の「特捜」内での出世模様を見ているようである。

(ちなみに、最近映像で発見したのだが、『大鉄人17』で、本編冒頭、軍艦ロボットに撃ち落とされる飛行機のパイロット役で出演していた)

また、料理屋の女将役は、のちの『はぐれ刑事純情派』でおなじみ、言わずと知れた岡本麗氏。岡本氏の場合は、

黒の義勇軍の女ボス → 週間誌記者 → 店の女将

と、だんだん役が落ちつてきているのが、何だか寂しい。ま、年相応と言えばそれまでなのだが、女ボス役がなかなか強烈だっただけに、ちょっと残念。

そして、女将の旦那は、飛鳥五郎こと岡崎二朗。やっぱり、とことん特撮最前線。

あと、この回の見所と言えば、死んだ奥さんの写真を旦那に押しつけて「戸田!奥さんの顔を良く見ろ」「奥さんに何か言うことはないか?!」と、精神的にいたぶる凶悪尋問と、真犯人だった一介のサラリーマンを、屈強の男3人で取り囲むという、冷酷無比な身柄確保。

もともと、課長が紅林に「こっちも忙しいから応援はやれん」と言って、紅林単独で調べだした件だが、そうは言いながら吉野をちゃんと付けたり、結局は特命課総出になった事件。所轄だけの取り調べで済んでいたら、紅林と竹田が知り合いでなければ、罪を竹田に押しつけたまま、逃げおおせることができたのに、広島の同僚、無念。

そういえば、取調室で竹田にお茶を入れた紅林だが、急須にお湯を入れるや否や、すぐに湯呑みに注いでるぞ。それ、まだお湯なんじゃないのか?これも高度な嫌がらせか?

さて、この回から、本編のサブタイトルのテロップが出た直後に、脚本と監督のテロップも出る仕様に変更される。

もともと、この形式をとっていた『Gメン』や、そもそもエンディングがないので、オープニングで脚本家名が表示されていた『太陽にほえろ』などと違い、本編が終わって、エンディングにならないと、今回の脚本が分からなかった『特捜』。

しかし、ある意味では、本編を見ながら「今日の脚本は誰だろう」と、予想するのも、ファンの楽しみのひとつではなかったか。先にクレジットしてくれるのも親切設計ではあるが、その楽しみがなくなるのは
ちょっと残念?

ちなみに、ワタシ的には、大別して

【1】長坂秀佳脚本
【2】塙五郎脚本
【3】佐藤五月脚本
【4】それ以外

という見方をしていた。上記3人は、とても特徴的な作風なので、わりと判別しやすい。逆に言うと、見ていて、あまりピンとくるものがなければ、この3人以外の脚本、という判断である。

この回に関しては、たとえ冒頭のテロップが無かったとしても、大半のファンは、佐藤脚本だと気がついたことは、想像に難くない。

というわけで、非常に後味の悪いラストのまま、7周年記念の大作へと続きます。

そういえば、どうでもいいことだけど、本編中4回も“ト●コ”って単語が消されてたな…。

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