特捜最前線 第356話 ある主婦の殺意!


【脚本 石松愛弘 監督 天野利彦】

おやじさん、ダッシュで遮断機くぐり!!

いーけないんだ いけないんだー
課長にゆーたーろー

◆   ◆   ◆

石松愛弘・悪女シリーズ第3弾、だそうで。

サラ金の取り立てに苦しむ一家、その妻が、当のサラ金の人間を取り込んで、完全犯罪をもくろむという、着眼点としては、なかなか面白い回。

が、残念ながら、どうもこれは、シナリオの構成に問題がある。

特に、夫が転落死する場面と、奥さんがサラ金業者の男と“契約”を結ぶところは、どう考えても、順番を逆にするべきではなかったか。

あと、屋上の場面も、せめて「旦那さんが振り返ると、誰かが来て、それに気付いた旦那さんが驚く」くらいにとどめておくべきだったのでは。あそこでは、サラ金男の姿を映してはいけなかったのではないか。

とにかく、旦那さんが、転落事故を装って殺されるまでは、極力、奥さんと事件との関わりを示唆させるような場面は描かず、スピィーディーに展開するべきではなかったか。

この話を面白くしようと思えば、やはり前半では、あくまで奥さんは「善人」と視聴者に思わせなければならないわけで、“契約”の場面を先に見せてしまったり、“現場”にサラ金男を登場させてしまっては、話の面白さは、ほとんど失われてしまう(特捜ファンは目が肥えているので、この時点で、大部分の視聴者は“カラクリ”が分かってしまったはずだ)。

なので、通夜のときの「あの奥さん、大した役者だよ」というセリフも、全く生きて来ない。話の大筋が読めてしまった視聴者にとっては、そのセリフを聞いても「こっちも分ってるよ」とばかりに、苦笑いするしかないのである。

そもそも、このセリフすら、展開としては不要のような気がするのだが。

もし、『コロンボ』や『古畑任三郎』のように、先に犯人が分かっていて、それを刑事が追いつめる形式の“倒置”のストーリーのつもりであるならば、それはそれで物足りない。

これを成立させるには、犯人すらも予想しえなかった、なおかつ、明確に犯行を示す「決定的な証拠」が提示されなければならない。

しかし、実際の話ときたら、はじめに出てきた「引っかき傷」と「ボタン」以外、“他殺”または奥さんが“主謀者”であるという新しい証拠は、一切出て来ず、やってることと言えば、ただただ船村が“情”に訴えて、奥さんに自首を求めるのみである。これでは、倒置の展開を狙っていたとしても、如何ともし難い。

着眼点は良かっただけに、構成と、話としての面白さが加われば、もう少し違った印象の作品になったように思う。

この回、悪魔元帥の加地健太郎氏とともに、『仮面ライダークウガ』で、五代雄介の“恩師”役だった、井上高志氏が出演。クウガを知っている人には、この役が印象深いと思うが、この時期は、『太陽にほえろ』や『西部警察』など、悪辣な犯人役として出演していることが多く、今回もその例。

あと、このサラ金取り立て男が見ていたと言った映画、何だ「貴方と濡れたい牝犬リンチ」って、

ちょっと見てみたいぞ。

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