特捜最前線 第323話 二人の夫を持つ女!

【脚本 塙 五郎 監督 藤井邦夫】

まさに「今日もいないパパ 」だな。

◆   ◆   ◆

本編が始まって数分で、誰もがそれと分かるくらい、塙五郎脚本独特のテンポというか、高揚感もあまり無く、全編まったりと進む、女と男の話。

良くも悪くも塙脚本らしい一本であるし、こういうのが好きだという特捜ファンとも少なくないと思うが、ワタシにはやっぱり合わんな…。

女と“二人の夫”の話はともかくとして、「ヤク中だから強盗殺人をする」というあたりの論理が、ワタシにはさっぱり理解不能なのだが。

そのくせ、ガラスを割る時にハンマーに布を巻きつけたりと、(それが理にかなっているかどうかは別として)妙に冷静だったりするし。

ラストで銀行強盗というのも、唐突過ぎて、もう訳が分からん。いや、犬を買う30万のために銀行強盗するというアイディア自体は面白いのだが。ここを膨らませて、別の話にしたいくらい。

だいたい考えてみれば、強盗してるんだったら多少なりとも金は持ってるだろうし、犬なんて店から盗みゃいいだろう。そのあたりの判断基準も、よく分からんのだが。

それも「ヤク中だから」ですませるとしたら、それはちょっとどうかと思うのだが。

それと、この回でどうしても気になったのは、叶のキャラクター。

確か以前にも、こういう図式の話があったような気がするのだが、これも塙脚本に出てくる“妙に物わかりがよく、心情が犯罪者よりで、マイルドすぎるくらいマイルドな桜井”に対し、叶が常識漢、いうならば“桜井の引き立て役”として描かれている点。

このサイトでも書いたと思うが、これは登場直後の叶によく見られたパターン。つまり、長坂氏が目指した「クールでシャープな刑事」ではなく、「ただ単に言動や行動が粗野なだけの刑事」として、叶が描かれているのだ。

「クールでハード」と「粗野で乱暴」とは、まったく別の代物だと思うのだが、長坂氏以外で、その書き分けができる脚本家が他にいなかったということか。

それはともかく、今回の叶は、その「粗野で乱暴」なだけの刑事として半ば意識的に描かれ、桜井の引き立て役になっている。

ということは裏を返せば、叶の言っている事は、一般論としては“極めてまとも”ということでもあるのだが。

そういえば、よくよく考えてみれば、塙脚本で“叶編”って、ほとんど思い浮かばないのだが…。塙氏は叶が嫌いだったのか?

この回、「特捜」ではおなじみの左時枝さんが出演。ていうか、ほとんど彼女が出ることが分かった上で本が書かれたのではと思うくらい、キャラ的には合っている。

さらに“二人目の村上”として、これも特捜ファンにはおなじみの大谷朗さんが登場。

大谷さんは「特救指令ソルブレイン」の『今日もいないパパ』にも出演。というわけで、今回のタイトル下のネタになる。

あと、大谷さんが着ていた衣装、そっくりそのまま、後の「宇宙刑事シャイダー」の『恋のミュータント』で、ジミー北原が着ていた衣装になったような…。

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