特捜最前線 第318話 不発弾の身代金!


【脚本 長坂秀佳 監督 藤井邦夫】

あっ、もう、興ざめだなぁ!
「ファミリー劇場」のテロップ邪魔!!

◆   ◆   ◆

長坂秀佳シリーズ第2作は、「特捜」では度々お目見えする“バクダンもの”。

しかも今回は、なんと“不発弾”である。

今まで、いろんな類のバクダンものを描いてきた長坂らしく、今回もアイディアとトリックに富んだ作品となっている。

加えて今回は“戦争への怒り”のようなものまで、テーマに織り込まれている。

おやじさんのセリフ

「生きていたんだねぇ…。

生きていたんだよ、まだ、戦争ってヤツがさ。

世間が忘れた頃になって、突然息を吹き返して、あたしたちの血をすすりにするんだ」

「あれはきっと悪いことに使われる。

人間を殺すために作られた兵器が、他のことに使われた例は、かつて今まで一度もなかった。

いいかい…、今まで、ただの一度もないんだよ」

その予言通り、爆弾は最悪の形で特命課の前に表れることになるのだが。

と、ここまでを見てると、おやじさんがもっと話に深く関わるのかと思ったら、実は桜井編。

おやじさんの目立った出番と言えば、この後“バクハツサセマスカ”というコンピュータの問いに、ヤケで「ハイ」と答えた吉野に「吉野くん、無茶なことするな」というところくらい。

おやじさん、大丈夫ですよ、コンピュータですから。

で、この回の犯人・西森(西田健)は、爆薬が扱えるだけでなく、複数犯であるかのように偽装したり、ウソの証言で捜査を混乱させようとしたり、コンピュータのデータで特命課に挑戦状を送りつけたりと、なかなかの知能犯。

が、本人も予想していなかった事態により、計画は頓挫し、絶望の縁に立たされることになる。

どうやら西森は、エリートに対するコンプレックスから、犯行に及んだらしい。

「ウソをつかず、誠意をもって働けば、必ず認められる。

その通りやってきたつもりですよ。

しかし、現実はどうでしょう」

という、西森。

その後の内容を聞くと、かなり独善的ではあるが、個人的には、言いたいことは非常によく分かる。

確かに、努力とか誠実さとかは、悲しいことではあるが、幸せとは全く何の因果関係もない。

コツコツ努力している人間よりも、何の努力もしないでのうのうと生きているゴミのようなヤツが、幸せを謳歌しているという事例は、いくらでもある。

しかし、心情的には分からなくはなくても、罪の無い子供たちを殺傷するというのは、やはり許されるべきでない、ということであるのだが。

結局、特命課に追いつめられた西森は、橋から身投げして死亡。ただ一言残された「軽トラ」という言葉を頼りに、爆弾を探す特命課だが、果たして爆弾はどこに…という展開で、ラストに向かう。

この回には、いくつか、過去の長坂脚本回を知っていると、違う意味で楽しめる場面がいくつかある。

ひとつは、“ブルトニウム爆弾編”と同じ「止めなきゃ…!!」というセリフを、その時と同じ西田健が言うところ。思わずニヤリとしてしまう。

もっとも、シナリオのできた段階では、キャスティングは決まってなかったかもしれないので、西田氏がこの回に出演して、同じセリフを言うことになったこと自体は偶然か、あるいは…。

(一部では、この話は“プルトニウム爆弾編”のリメイクでは?とも言われているらしい)

もうひとつは、『ピエロと呼ばれた男』のラストのように怒濤のように爆弾を止めにくる刑事、という場面で、話自体が終わるところ。

ただし今回は、ちゃんと爆弾を止めるところまで本編に入っている(『ピエロー』では、爆弾が止まる前に本編が終わっている)。

また、「あと1分で爆発だ!!」と珍しく狼狽する神代課長も、もしかしたら、先のプルトニウム爆弾編で、おやじさんのセリフにあった「アナタを知って20年、これほど取り乱したアナタを、ワタシは見たことがない」というセリフとダブらせたもの…か?

ラスト、爆発を阻止し、桜井や橘・吉野の笑顔のあと、何も起こらなかった爆弾のカットになり、しばし無音のあと“ジャカジャカーン”と、エンディングになるのも、なかなかニクい演出だった。

ただ、ファミリー劇場で視聴している人間に取っては、どうしても気になるというか、許せないことがひとつ。

ファミリー劇場で放送される番組は、放送番組であることを示すために、本編の始めと終わりに、10秒ずつくらい「ファミリー劇場」というロゴが、画面右下に表示される。

まあ、普通に始まって普通に終わる回なら、さして問題は無いのだが、今回のように、特殊な終わり方をする回では、非常に気になる。

この回でも、桜井が子供たちをかき分けて突入し、さあ爆弾をどうするか!!???…という場面で、

ファミリー劇場

…と、右下に出てしまった!!なんたることだ!!

まあ、DVDで視聴されている方には、何の関係もない話でした。すんません。

(ちなみに、2008年10月半ばの放送分からは、画面左上に小さい文字で“ファミリー劇場”と、常時表示する使用に変わったようである。まあ、あれはあれで気になることがあるのだが)

前述したように、この回、特に長坂秀佳脚本回で強烈な印象を残している西田健氏が登場。

また、ラストの方には“148人”とされる、大勢の子役エキストラが動員されている。ここまで数が多いのは、おそらく空前絶後かと。

ちなみに、ではあるが、2週後の『特命へリ緊急発進!』の前に、すでにこの回で、ヘリが緊急発進してたりする…。

《この回は、このDVDに収録されています》
特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.5 (初回生産限定)

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