特捜最前線 第136話 誘拐1・貯水槽の恐怖!


【脚本 長坂秀佳  監督 天野利彦】

坊やがどうなったかを考えてみろ。ここは、ホシと我々との真剣勝負だ!

◆   ◆   ◆

「神代さん、貴方は警察は犯人に見破られるような張り込みはしないとおっしゃった。だが、結果はどうでしたか…?

橘さん、貴方は犯人が金を手に入れない限り、和也を殺すことはないとおっしゃったが、結果はどうでしたか…?

そして桜井さんは、草太に男らしくキャッチボールをしていればお兄ちゃんは帰ってくると…その結果は…?

責めてるんじゃないんです…責めてるんじゃないんです!」

「子供だから、一介の町医者の子供だから見殺しにしろと言うんですか?!」

「今の私は、人質を無事に助け出すこと以外に何も考えておりません!お聞きいただくまでは、ここを一歩も動きません!」

「人の命に上下はないはずです!総監に電話を…!」

貴様…貴様それでも人間かぁ!!

「オイ、オイ待ってくれ!カネ来た!!

「分かりました…すぐそこの電話ボックスです!」

「難しくても苦しくても、坊やを無事救出することが最優先する。それしかないんだ」

「最悪の事態だけはどんなことがあっても避けなくちゃいかん!!」

序盤の絶望感、中盤からの緊迫感と高揚感。そして、見終わったあとの、いい意味での疲労感。

その物語にあふれる、名セリフの数々。

冒頭、誘拐された子供か殺されてしまうという、ショッキングな展開で始まる、超絶傑作の前後編。

脚本の長坂さんが、常々他の刑事ドラマを見ていて「あんな尾行じゃすぐバレるじゃないか!」と思っており、そうじゃない「尾行」もの、しかも尾行だけで話を作ろう、ということで書かれたという。

その前提として、

所轄署のヘマなな張り込みのせいで子どもが殺される

しかも、間髪入れず、次男が誘拐される

こんな犯人は、絶対には許せない

今度こそ、絶対に捜査に失敗できない

だから、絶対にホシに気づかれない尾行をする

という流れの話になっているのだが、プロデューサー側は、子供が死ぬということに、最後まで抵抗を示したという。

しかし、長坂さんの説得(?)が功を奏し、今回だけは、ということで、この前後編が実現したのだ。

ということで、残忍・卑劣極まりない犯人を捕まえる、そしてなにより、誘拐された草太くんを、彼だけはなんとしても助けなければならないという、極度の緊張と固い決意のもと、特命課の果てしない追跡が始まるのであった。

この回、子供を誘拐される産婦人科医・朝倉夫妻に、山本學さんと堀越陽子さんという豪華な俳優を擁しており、この作品へのスタッフの意気込みを感じるとともに、それが、この前後編を名作たらしめている。

また、この回では「声」だけで姿を全く見せない誘拐犯は、ジャッカー電撃隊のダイヤジャックこと、伊東平山さん。エンディングのテロップで、あ、彼が犯人役なのかと分かるのだが、この回では、顔のハッキリ分かる場面は一切ない。それがまた、この話の緊迫感、犯人への怒りをかきたてるのは、言うまでもない。

それと、今回殺される和也役の子供さんだが、特命課に発見され、朝倉がなんとか目を覚まさせようと、和也の頬っぺたをパンパン張るとき、あまりに力が入りすぎたのか、反応してはいけないはずなのに、子供さんが思いっきり痛がってた映像が入っている。

本来であれば、明らかに「NG」であるはずなのだが、今回は子供が死ぬという、あまりに衝撃的なシーンゆえ、「これはドラマです。この子は死んでませんよ。死んだ演技をしているんですよ」ということを伝えるために、わざとそれが分かるように入れたのではないか、と勝手に推測する。

もしそうだとすれば、そういう配慮を視聴者にすることを考えなければならないくらい、この前後編がいかに「異例」のものであったかということであろう。

あと、細かいことではあるが、第3パートの駅のホームのシーンで、神代と津上の「午前5時45分」というセリフが、両方とも「後付け」になっている。もともとは、違う時間指定だったのだろうか?

(2011/11/20)

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