特捜最前線 第94話 恐怖のテレホン・セックス魔!

【脚本 長坂秀佳 監督 天野利彦】

今回DVDになるエピソードのうち、53話から104話までの回、すなわち2年目の回で収録されるのはこの94話『恐怖のテレホン・セックス魔!』だけです。

『特捜最前線』とえばオープニングの矢印が有名で特捜の象徴ですが、そのイメージはテーマ音楽変更とともに作られた2年目のオープニンング映像によるものです。

しかし3年目以降のタイトルバックは朝日(夕陽?)バックに「特捜最前線」と出るものでこちらは7年間も使用されたのでおなじみですが、2年目の「矢印オープニング」は意外にも1年間しか使用されませんでした。したがって、この2年目オープニングを見たことがないというファンは少なくないと思われます。

ので、そのファンは94話のオープニングではじめて2年目オープニングの映像を見ることとなり、フィルム時代にしてはかなり凝ったオープニング映像に「へー、この頃ってこんなオープニングだったのかぁ」としばし感動されることでしょう。

しかし、感動に浸って油断していると、あの声が聞こえて来るのです。

「はあ… はあ… 奥さぁぁん…

いまどんなかっこしてるの…・?

オレ今裸なんだよ…」

見た人の間ではかなり有名な、我らが西田健氏の悪魔のささやき。この回はそれから始まるのです。

『帰ってきたウルトラマン』の岸田隊員や『忍風戦隊ハリケンジャー』のハムスター館長で特撮ファンにもおなじみ・西田氏の怪演はとどまるところを知りません。

「胸の三つのほくろにチューしたとき、たまらない声を出してくれるぜ」とダンナの動揺まで誘ったかと思えば、船村の願いも聞かず電話番号を変えた奥さんのもとに電話をかけてきて、
「どうしてこの番号がわかったんですか!!」と半狂乱の奥さんにあっさり一言、

「恋するものの情熱だよぉ」

もう最高。西田健最高。(ここまで8月9日追記。後の文との繋がり無視…)
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ドラマ『踊る大捜査線』で、「事件に大きいも小さいもない!」という代表的なセリフがあったが、今回はその18年前、まさにそれを具現化したような話である。

『特捜最前線』は、放送時間が夜10時だったため、他の代表的な刑事ドラマでは扱いにくいテーマを数多く扱えたことが、現在でも人気のある理由のひとつだと思うのだが、この回もまさに、夜10時番組だったからこそ出来た、意欲作である。

悪戯電話という、普通警察にとってみたら扱いもしないような小さな事件。しかし、冒頭の船村のナレーションにもある通り、その被害に遭っている人にとってみれば、新聞紙上やテレビをにぎわす大きな事件と同じ重大事件なのだ。その意味で、あらゆる事件に挑む、「特捜」らしい一本に仕上がっている。また、このテーマに挑むのが船村刑事であることも興味深い。

中盤、自分の声まで犯人の電話に利用され、強いショックをうけて辞表を出そうとする船村。しかし船村の妻・加代は、どんな重大事件を解決した時よりも、今の小さな事件にとりくんでいるあなたを尊敬します、私のことなど気にせずに捜査を続けて欲しい、そう言って、船村を思いとどまらせた。素晴らしい奥さんである。また、このテーマの中で、船村夫婦の絆までも描ききってしまう長坂脚本もまた見事である。

そしてこの回、吉野の「おやっさん、やりました!バックにポルノ映画の声もバッチリ入ってます!」の後の、映画館での捜査シーンがすごく面白かった。電話から森村の指紋をとろうとするが、あまりに多数の人間が触れているため、指紋が検出しにくい。そこで、切符の半券があるじゃないかと思い立つ船村。しかし今度は、あまりの半券の多さに困惑する特命課。そこでまた船村が、自分の半券を取り出して「やつは私の前に入った。この番号のひとつ前をさがせばいい!」緊張感の中にも、なにかコメディっぽい色が感じられて、個人的にすごく好きなシーンである。

犯人・森村を追い、痛む心臓をおして必死に走る船村。その走る姿は感動的だった。まさにおやっさんの執念が生んだ逮捕劇だった。

【この回はこのDVDに収録されています】

特捜最前線 BEST SELECTION BOX Vol.1

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