特捜最前線 第86話 死んだ男の赤とんぼ!


【脚本 長坂秀佳 監督 佐藤 肇】

前回は「塙脚本2週連続」だったが今回は「長坂脚本2週連続」。

これも、犯人逮捕で話が帰結しない(ていうか、サブタイトルが出る前にそれは終わっちゃってるし)、従来のパターンを打ち崩した長坂脚本の作品である。

この回は、五條の過去や足跡をたどり、鬼社長といわれた強引な手腕と、その裏に秘められた悲しい心の傷を描き出し、なぜその姿でその場所にいたか、その答えを出す、という展開である。地味な話だが、派手な話にはない違った味わいがある。数ある刑事ドラマの中でも、このような話ができるのは、「特捜」ならではかもしれない。つくづく、このドラマの懐の深さにうなる思いである。

それにしても、いなくなって「本庁が大騒ぎしている」五條が、今目の前で死んでいるのに、それに気づかない特命課って…。おまけにいってることとやってることがなんか見当違いだし。いいんか?

それは別にして、佐藤肇監督の”全員入れ込み”ショットはいつ見ても秀逸。今回も、序盤の特命課勢ぞろいのショット(いつものように高杉はいないけど)は見事。

それと、五條の妹・よし子のセリフに、「お金じゃないの。法律でもないわ。…心よ」というのがあったが、これは前回『死刑執行0秒前!』での船村のセリフとリンクする。これは一種の遊びだったのか、それとも、長坂さんが「特捜」にこめた大テーマなのか。今のところ結論は出せないが、これから研究したい事柄である。

人間らしい心を取り戻し、その瞬間、死んだ五條。まるで、そこが自分の死に場所であることをわかっていたように。彼は何を思い、あの時、”赤とんぼ”を歌っていたのだろうか…。

なお、この回で五条を演じていたのは、水戸黄門でも有名なあの西村晃氏。

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