特捜最前線 第80話 新宿ナイト・イン・フィーバー


【脚本 長坂秀佳 監督 佐藤 肇】

人によっては、拒否反応を起こしそうなくらい、救いの無い、ハードなストーリーである。が、私は断然この話を推す。傑作なのだ。

私が、この80話を傑作だと考える理由は、かつて『痴漢・女子大生被害レポート!』を強く推したのと、同じようなものだ。この回、まさに人間の暗部というか、誰もが持っているであろう、闇の部分を、この一人の男・小栗の姿を借りて、堂々と真正面から描ききっている。まさにこの『新宿~』は、特捜課の刑事ではなく、この銃を手に入れてしまった小市民・小栗こそが、感情移入の対象となりうる存在なのである。

もし、この回を、話が荒唐無稽でくだらないという意見があるならば、あえて問いたい。あなたは完璧な人間なのか、と。自分に秘められている暗部に目をそむけているだけではないか、と。

もちろん、小栗のとった行動は、犯罪行為である。だからこそ、自らの死をもってしか、その罪を清算することが 出来なかったのだ。あまりにも悲しい、それまでの彼の人生と、(文字通り)転落の運命。それは、たった2日間、彼の人生に最後に用意されたステージだったのか…。

さてこの回、演出としてはなんといっても、発射された弾丸の説明、残りの弾丸数など、テロップ(字幕)が多用されたことだ。これは、銃がこのストーリーにおいて重要ファクター であることを如実に表現して効果的だった。

また、当時大流行だった(と思う)ピンクレディーの曲が、絶妙なタイミングと選曲で使われていた。そして極めつけはラスト「この空を飛べたら」(加藤登紀子版)。実は私はこの曲はこの回を見るまで聞いたことかなかったのだがきっと一生耳から離れることは無いだろう。それくらい、やるせないストーリーと、曲の情感がマッチした、名選曲だった。

また、ラストシーン、”残弾0発”とテロップが出るだけで、誰にも、何も語らせず、 ジャカジャジャーン…、この終わりかたが、また心に響くのである。

いつかどこかで、この曲が聞こえてきたら、この回のラストシーンを想い出してしまうことだろう。

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