特捜最前線 第63話 痴漢・女子大生被害レポート!


【脚本 八幡史郎 監督 村山新治】

人によっては別に言うほどの話ではないと思う。多分、この話の中での被害者(そして加害者)の男の心境を、理解できてしまうような男が見た場合、とても真に迫って、なおかつ見返すのが辛い作品になってしまうのではないか。

この回、話はとてもよくできている。

この回では、3つの事件が描かれる。最初の事件、中井の婚約者であった大学の先生が殺される事件、そして、中井の友達・池田が殺された事件である。最後は、誰が池田を殺したかという謎が残り、それは、池田が、通りかかった女子高生を犯そうとしたとき、彼女に殺されたのだとわかる。それは、高杉が、「オレのカンが外れることを祈ってる」と言った、まさにその「カン」が、不幸にも的中してしまった形の結末であった。

この回、中井は終始、「池田君は真面目でいい人」と言いつづけていたが、本当にそうだったのであろうか。それは彼女の勝手な思い込み、そして、「男心」がわからなかった、彼女の鈍感さのあらわれではなかったか、というのは、いささか言いすぎであろうか。

中井は、池田の気持ちがわかっていて、あしらっていたようにも見える。実際はそうではなかったかもしれない。しかし、結果的には池田にそう思わせていたのだ。池田は、彼女が好きなら、絶対に“やりたい”という感情がある。だが、中井は、彼がそんなことを思っていない、ただのいい友達なのだと、勝手に思い込んでいる。この気持ちのすれ違いが、この悲劇を生んだ。

こういうこと、どこかで見たことがないだろうか。こんな経験、全くないという男が、果たしてどれだけいるだろうか。

そう、このふたりの関係というのは、決して珍しいものではないと思うのだ。だからといって、もちろん、人気のない夜道で女性を犯していいはずはない。しかし、もし何かの弾みで、心の中の理性を繋ぎとめている糸が切れてしまったら…。私が、この池田のような行動に走らないという保証は全くない、いやもしかしたら明日にでも。

なぜなら、その理性をつなぎ止めている糸というのは、ロープのような頑丈なものではなく、蜘蛛の糸のように簡単に切れる、極めて弱い糸なのだから。

この話を見た後、2時間くらい立ち直れなかったのは、自分でそれに気づいてしまったからである。

【いただいたコメント】

投稿者:天知茂は天才
2007/11/21 14:18
この作品は人間の汚さ・エゴの出た人間のダークな面が出た作品だと思いました。人間というのは他の動物と違って理性はあっても、時として理性がなくなり、このような犯罪をするのかなと思ってしまいました。

しかしこの作品での高杉刑事は笑い0ですね。普段は潤滑油のような存在なのに、こうもシリアスとはねえ。前作の「緊急手配・悪女からのリクエスト!」はほのぼのとした高杉刑事らしい内容でしたが、今回は180度違う作品だったので見たときはショックでしたねえ。本当に高杉刑事の作品は1つ1つが貴重だなと思いました。そして、ここでの高杉刑事は大暴走でしたから。神代警視正が冷静で本当によかったと思いました。

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