特捜最前線 第51話 凶弾II・面影に手錠が光る!


【脚本 長坂秀佳  監督 佐藤 肇】

夏子は死んだ…私が殺したんだ…!

◆   ◆   ◆

前回の続き。

夏子を失った神代課長は、腹いせにヤクザを殴って暴走…ではなく、事件の黒幕、そして夏子を撃った人物へと近づいていたのだが…。

この回、冒頭のナレーションからサブタイトルが出たあと、ラストの「独白」までの間、神代のセリフが一切ないという、これまたすごい展開。

娘を殺すというのだけでも凄いのに、この上まだ、あの大スター・二谷英明に、出番はたくさんあるのに全く喋らせない本というのも、これまた凄い。

かくして、言葉はなくとも猛然と大暴走(?)する二谷さんの名演もあって、これまた「特捜」を代表する大傑作。

まさか、この「課長が暴れた跡には、必ず手がかりが残っている」という展開が、このあと9年の時を越えて、最終回で再び現れることになるとは。

結論を言えば、神代夏子を撃った張本人は、あの善人ぶった青柳という男。奴こそが立花組の組長も恐れる「大組長」だったのだが、これがとんでもない奴。

自分で夏子を殺しておいて、しゃあしゃあと葬式に出たり、夏子のことを「あんな良いお嬢さんを殺すなんて」と抜かしやがるわ、何食わぬ顔で被害者連絡会を手伝ったりするわ、また自分で殺しておいて「し、死体…」と、白々しい真似をするわで、

大悪党だな、コイツ。

そして、この回に忘れてはならない働きをしているのが、高杉。

他の特命課刑事は課長の暴走を止めようとする中で、ひとり課長の行動に理解を示す高杉。

「課長だって私情で動いてるじゃないですか!」という津上に「課長は今、そっとしておいて欲しいんだ」という高杉。

同じく「夏子さんが可哀想だ。父親にまだ、お参りさえしてもらってないんですからね」という津上に、「けどな津上、課長はなぁ、今はじめて親になろうとしてんじゃねえのか?お嬢さんが亡くなった今な、はじめて父親になろうとしてんじゃねえのか?ひたすらによ」という高杉。

そして、青柳の居場所に急行しようとする課長を、他の刑事が必死に止めるなか、夏子の車を回してきて、「行かせてやってくれ!!」と刑事たちを遮る高杉。

エリート集団にあって、自分を投影したキャラクターであったと長坂さんがいう、決してエリートではない高杉が、課長の理解者であったという点が、ドラマに厚みを持たせていた。

また、ラストではまた、神代が夏子の経歴を独白して涙を流すのだが、このシーン、本来はもう少し早くカットがかかってもいいところを、佐藤監督がなかなかカットをかけず「もっと撮ってやれ!」とカメラを回し続けたそうだ。

それに対し二谷さんも「まだカットかけないのか。ならもっとやってやれ!」と、演じ続けたということだ。

そのことから、脚本の長坂さんも、この回に関しては映像の印象が強いと語っている。必見の名シーンである。

ところで、神代に娘がいるという設定は初期からあって、確かはじめの頃は違う役者さんが演じていたと思う。

それが、後に変更(岸田奈帆子さん)になったわけだが、なぜだろうと考えた時に、ひとつ気がついたことがある。

それは、夏子の「写真」である。冒頭、もしくはラストで神代が夏子の経歴を語る時、バッグに「夏子の写真」が映っているいるのだが、その中には、本当に役者さん本人の子供時代とか、明らかに「プライベートな写真」が混ざっている。

ということは、夏子は死ぬという話の流れを受けて「写真をモンタージュする」という演出プランができて、それに合わせて、個人的に子供時代から現在までの写真を持っている役者さんに配役を変更した、ということだったのだろうか。

今でこそカメラなんて誰でも持っているが、当時は高価、ましてや子供時代の写真が残ってる人となれば、そうはたくさんいなかったであろうから、その条件に当てはまる役者さんを見つけるとなると、けっこう大変なのではなかったか。いや、これは私の単なる想像でしかないのだが。

そういえば、群衆の中での神代と青柳の格闘シーンほ圧巻。同じ佐藤監督の「プルトニウム爆弾編」や「シェパードだけが知っていた!」などを思い出す。

また、神代がついに青柳を取り押さえ、特命課刑事に引き渡す場面、同じフレームに本郷猛、城茂、海城剛、そして渡五郎が揃うという、本当の特撮番組でも実現しないような、濃い映像が実現!

やっぱり、特最前線。

それにしても、今回の神代課長はよく動いてたな…。見事な大暴走ぶり。首の折った影響とは思わないが、シリーズ中盤以降、ここまで動く課長というのは、なかなかなかったように思う。

あと、個人的にツボなのが、次回予告。

まるで当たり前のように 紅林が3カットも映っている。

正式には第53話からのレギュラー出演者で、52話では外事課からの「応援」ということで特命課の捜査に加わっているのだが、実質上すでに52話からのレギュラーと言って良いくらいの、

異常な溶け込み具合。

やっぱり、この時から紅林は紅林だったんだなぁ。

蛇足だが、第2パートの終わり、課長の後ろ姿が映ってるところに、チョロチョロする子供がすごく可愛い。

本来はNGなのかもしれないが、あまりに可愛いかったので、切り辛かったのだろうか?

【旧ブログ時代にいただいたコメント】

投稿者:天知茂は天才さん
2007/11/21 14:35

この作品での神代警視正は本当に凄いですねえ。よくいえば執念、悪く言えば暴力マシーンですねえ。この迫力は凄いものでした。

またこの作品でのサブメインは、間違いなく高杉刑事でしょうねえ。他の特命戦士は神代警視正をせめるなか、高杉刑事だけは神代警視正の心情を理解してるからこそ、夏子の車を渡したんでしょうねえ。そして、他の特命戦士をとめる高杉刑事がかっよかったですねえ。ただ、その後桜井刑事が高杉刑事を殴るのですが、これが普通すぎて迫力なくて、これが残念でした。

また、桜井刑事も大活躍でしたね。この状況の中、冷静に物事を分析して犯人を推理する桜井刑事は、まさに神代警視正の片腕でした。本当にサブリーダーでした。

最後に予断ですが、南道郎さん演じる警官が凄く面白かったです。特に神代警視正に殴られたあの顔は一生忘れませんねえ。
とにかく最終回でもよかったのではないかというこの作品、これをみなければ本当に損するなあと思いました。

投稿者:あさみや
2007/11/24 15:21

>天地茂は天才さん
たくさんコメントありがとうございます!

少しずつお返しのコメントさせていただきますのでなにとぞご容赦下さいませ。

この前後編、私も語りだすとキリがないのですが、サブメインが高杉刑事という点は私も同感です。あの役どころは、あの時点では高杉だけにしか出来なかったと思います。彼の活躍で、ドラマが奥深くなりました。

本作も、確かに最終回のような展開ですが、“課長が暴れた後に手がかりが残る”という展開が、まさか9年後の最終回につながっているとは、かなりビックリですね。

投稿者:天知茂は天才さん
2007/11/25 10:14

返信ありがとうございます。
たしかにそうですねえ。神代警視正はやはり凄い人でしたよ。大暴れしても自分を失わない凄い戦士だと思いました。
それから高杉刑事にはもっともっとでてほしかったですねえ。これが本当に残念です。

(2011/11/19)

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